Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

社員指導・育成の方向性


 ビジネス環境の変化に伴い、経営者はさまざまな戦略を考え、また会計事務所にも相談をするでしょう。リストラもやむなしという場合もありますが、やはり、残すべきは、優れた商品よりも優れた人材です。S社のように優れた商品をいくつも開発した会社でも、戦略が悪ければ「格下げ」になるほど経営が悪化してしまうことが、それを如実に証明しています。

 リストラも難しいし、人材教育は時間とお金がかかると頭を悩ませているお客様に対して、適切な方向性を示してあげましょう。


社員指導・育成の目的

 社員指導・育成は、経営者に迎合するイエスマンを育てることではありません。また、知識の詰め込みでもありません。むしろ、部下自身も気付いていないような潜在能力を見出し、成長させることです。とくに潜在している自主性、積極性、協調性、創造性といった能力を引き出すことは、ある意味ではその人の向上心を誘発することになります。

 例えば、リストラ対象の社員でも、別の経営者に巡り合ったことから変わり始め、本人も驚くようなパワーを発揮した話を時々耳にします。

 また、社長のかばん持ちとして、1週間社長と行動を共にすることにより目覚める場合もあります。不可能と思っていたことが、経営者のちょっとした一言で意欲的になるケースが多いのです。経営者には部下の心に火を付ける役目もあるのです。


優秀な人材とは

 たとえどんな分野で能力を発揮したとしても、企業利益をおとしめるケースが多発しやすいのが、中小・零細企業の特徴です。

 例えば、営業部員の貢献で開拓した新規顧客を内勤社員の無作法な電話対応ミスから逃がすこともあります。顧客の信頼度は大きく違ってくるのです。

 つまり、すべての指導・育成は、企業収益に結びつくものでなくてはなりません。また、その収益とは、顧客がもたらすものであることを全社員に徹底させなければなりません。どんなにい能力を持った社員であっても、顧客との安定した関係を維持できないならば、すぐれた人材にはなり得ません。

 優秀な人材とは、企業収益に貢献できる社員のことです。経営者の大切な仕事は、部下の潜在能力を引き出して、その可能性を仕事で発揮できるように伸ばしていくことです。