Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

問題解決の基本を示す


 お客さまが求めるグローバルな視点での問題解決に、積極的にアドバイスすることも会計事務所の役割のひとつです。

 問題だらけでどこから手を付けてよいやら分からないと嘆いているお客さまには、グローバルな視点も目先の解決策も必要でしょう。ただし、小手先の対処のみでは先行き不安はぬぐえません。お客さまに対し、問題に重要性、緊急性の優先順位をつける判断法や、解決に向かう正しい手順の実践をアドバイスしましょう。

 まず、問題解決の5段階を確認します。


第1段階:「何が問題なのか」を相互確認する

 まず、問題解決に当たる人たちの、問題に対する理解が一致しているかどうかを確認しなければなりません。「何が問題なのか」「何を解決したいのか」全員が「当然分かっているはず」と思い込んでいると危険です。それぞれが自分の思い込で動き出してしまうと、少しのズレが、解決のために集めるデータや選択・加工する情報に整合性を欠くことになってしまいます。途中で気付いて確認のし直しをするのでは、時間の無駄です。

 「何が問題なのか」最も単純なことの意思統一を図るには、当事者の意見をよく聞くことが大切です。問題が大きくなればなるほど、解決に当たる関係者も多くなります。そのためのチームワークが重要になってきます。解決メンバーのコミュニケーションを図ることです。


第二段階:問題の本質を探る

 真の解決のためには、表面的な現象だけでなく、問題の本質を探りながら原因を分析し、現状を正確にとらえることが重要です。そして、問題の直接的・間接的な影響範囲を把握します。その上で、解決案や解決方針をさまざまな視点から検討します。それにより総合的に判断して問題解決策を決めます。

 他部門の意見をよく聞くことも大切です。どこが最も問題の本質に合った解決につながるのか、全体から検討することが必要だからです。


第3段階:解決案・方針を検討する

 総合的な判断によって問題解決策を決定するために、アイデアを多く出し合うことが必要です。そして、よく話し合い、検討を繰り返しながら、解決方針を決定します。


第4段階:解決策を実行する

 解決方針に従って問題解決に必要な情報を関係者全員にしっかり伝え、誤解や勘違いがないように相互確認します。


第5段階:予防対策を考える

 今後の予防対策として、常に問題点をできるだけ小さいうちに発見する意識や、予想される潜在的な問題点を見逃さない意識を持つようにアドバイスします。

 日常のコミュニケーションをとりながら、潜在する問題要因がないか、よく聞いて考えることが重要です。