Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

行動規範に落とし込もう


 世界的な優良企業といえども、戦略を間違えたために、赤字に転落した会社、倒産に追い込まれた会社をいくつも挙げることができます。景気が少し上向いたと言われてもすべての業種ではなかなか実感できないうえに、さらなる外交問題の影響も広がってきました。どの企業においても現状は、いまだに先行きが不透明なままです。お客様の経営者はまだまだ迷い、不安感でいっぱいです。


●経営理念を行動規範に落とし込む

 経営者の判断は、重要です。資本提携や、業務委託、切り離し等いろいろな策で生き残るための判断をしていかねなりません。あなたも一緒になって現状を正しく読み取り、情報やアドバイスを提供してあげることが大切です。しかし、企業の生き方がその時々の状況に翻弄され、一貫性がなければ、正しい方向へ導くことができません。

 経営理念は、創業時の思いを明文化し、企業の目的として何を実現するのかを明文化し、企業の目的として何を実現するのかを表明そていることが重要です。創業者の人生観が凝縮され、その企業の価値観として明確であれば、どのような状況に陥っても戦略を考えるときの芯がブレません。そのような経営者理念は、外にいるお客さまに対してのみではなく、社員一人ひとりが行動するときの精神的な支柱となるものです。

 社員の心構えも、経営理念を反映したものとなっていれば、社員の行動規範として落とし込まれ、おのずと会社の生き方を反映した一貫性のあるものになっていきます。お客様の会社の壁に貼ってある経営理念をなんとなく見過ごすのではなく、行動規範まで落とし込まれているか、確認してみましょう。


●経営理念の構成要素

 原則として経営理念は、誰にでも分かりやすい簡潔な言葉で表現すべきものです。特に若い社員にも理解できる具体的な内容であるべきです。それでこそ全社員のコンセンサスが得られ、行動規範になるというものです。

(1) 顧客第一主義がきちんと表明されているか
企業の経営について、もっとも重要なポイントは顧客です。顧客に支持されなければ企業は成立しません。

(2) 社員の知的向上を図り、経営参画意識を高める決意が表明されているか
社員の教育・研修によって育成を図り、経営への参画意識を高めることが社員にも企業にもプラスになります。

(3) 物心ともに豊かになるような「人間性」が追求されているか
経営者の人生観や経営哲学を盛り込み、仕事を通じて人間形成ができるような環境を実現する意思表明です。

(4) 経営の効率性と合理性が追求されているか
生産・販売・サービス・管理など、経営の各段階において効率性と合理性を追求する姿勢を見せることです。

(5) 経営者の「座右の銘」や基本方針が表明されているか
創業者や経営者の理想や信念。企業時の夢、創業の根本方針を語ります。そして、企業のレゾン・デートル(存在意識)を明確にすることが重要です。