Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

「聴く姿勢」をもっているか?


 かつては、借金をしても設備投資をし、企業の成長を促進していました。先行きが不透明な現状では、成長の機会そのものがなくなっているようです。たとえ借金がなくても、安心はできません。今後どのように成長すればよいのか、経営者はまだまだ迷っているのです。会計事務所は、そのようなお客様を支えてあげる役割があります。

 まずは、お客様に心を開いて何でも相談してもらえる関係を築かなければなりません。その基本になるのが双方向のコミュニケーションであり、相手の真意を汲み取る「聴く姿勢」を示し合い、事務所全体の活性化に導きましょう。


心を開かせる「聴く姿勢」

 せっかく相手に近づき、話ができる環境が整っていたとしても、「まぁ、聞けよ」と自分の思いをとうとうと熱く語るばかりでは、双方向のコミュニケーションになりません。かといって、忙しい中、時間をわざわざ作って来たのだから、「早く話せ!」「要領よく話せ!」というような命令的な態度であったり、「それだけですか?」「もっと他には?」「それはできるでしょう」「それはない」と頭から否定したり、批評するような聞き方では、相手も話す気力がなくなってします。

 人は、自分のことを認めてくれる人に話して、さらに肯定してもらいたいのです。冷静で、分析的な聞き方は、「ありがたい」と頭では分かっていても、本音を話しづらくしてしまいます。アドバイスは、お互いに次のような「聴く姿勢」があるときに効果的です。

 マイナスイメージを持たないこと。まず素直な気持ちで相手を受け入れて聞こうとすること。自分勝手に想像せず、相手の真意を確認すること。「何が言いたいのだろう」と常に相手に関心を向け、分からなければ積極的に質問をしながら聞くこと。「なぜこの人はそう言うのだろう」と好奇心を持って聞くこと、などが重要です。


相手の真意を汲み取るポイント

 注意していても、相手の話している言葉を漠然と聞いているだけでは、本当に相手の伝えたい真意を汲み取ることはできません。「話し手が一番訴えたいことは何なのか」という点に意識を集中して聞くことが大切です。

 まず、相手の話の内容に全神経を集中させるのは当然のこと、「この人が今、最も分かって欲しい点はこれなんだな」と意識しながら聴きましょう。

 言葉の表現的な意味だけでとらえるのではなく、内容全体から理解しようとすること。話の目的や主題をはっきりさせること。強調点を聞き落とさないこと。言外に含まれる意味も、汲み取ろうとすることが重要な「聴く姿勢」です。


 それがお客様を成長させる躍進する事務所の幹部育成にもつながっていくのです。