Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
コラム一覧はこちら


経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

頼れる職員を育てていこう


 日本経済に対する不安感は、なかなか拭えません。プラスの経済成長と発表されても、実感が伴わないのです。

 多くの経営者は、危機感が大きくなりすぎて、不安を直視する勇気が持てないでいます。しかし「このままではいけない! 適応するように変わらなければ! 何か先駆けてやらなければ・・・・!」とひとりであせってしまうばかりです。

 会計事務所には、孤独と焦りにあえぐお客様を支えて差し上げる役割があります。


双方からのコミュニケーション

 躍進する事務所には、所長と夢を同じくし、頼りにできる職員がいます。この経済危機を所長ひとりに任せっきりにして、ただ、「乗り切ってください。後ろからついていきます」と依存するのではなく、同じ気持ち、仲間として所長と事務所が一丸となり、一緒になって取り組んでいくことが重要です。

 所長の果たすべき責任は、もちろんあります。それでも頼られるばかりではなく、あなたが頼りにする職員の力も不可欠です。「自分ひとりで頑張り抜き、職員ができなくても自分だけでもやり通す!」などと思ってはいけません。本当に職員はついていけなくなります。事務所が一丸となれるかどうかは、所長次第です。所長が職員を頼りにし、求めれば、職員もそれに応えようとするものです。

 職員と十分に言葉を交わしましょう。事務所内のコミュニケーションが、どちらかの一方通行ではなく、双方向になっているかどうか、再検討してみましょう。

 所長の判断力・決断力は、職員からの正確で迅速な現場報告によって決まります。その上で、問題意識をどう持つか、目標をどのように設定し、達成を目指すかを指導していくのです。所長の右腕となる優秀な幹部職員を育成することにつながっていきます。

 所長は、職員のコーチ役でもあり、よりどころでもあるのです。協力関係を築くためにも、指示命令関係ではなく、双方向のコミュニケーションを基本とするのです。


ベネフィットドクターの知恵の活用

 ベネフィットドクターの重要なスキルに、コーチングがあります。人と人との一対一のやりとりを戦略的に行い、相手が自らの意思で行動できる具体的方法に気づかせていくプロセスです。その基本が、まず「聞く姿勢」からの双方向コミュニケーションです。

 ベネフィットドクターは、このスキルを活用しています。これはお客様にも、職員にも活用することができます。

 所長が、このスキルを常に活用することで、所長自身の「気づく力」「質問する力」「求める力」「聞き取る力」「表現する力」が高まります。それが、職員の「受け止める力」「思考をまとめる力」「行動をイメージする力」に変化を与えていきます。

 そうすることが、お客様を成長させ、躍進する事務所の幹部育成にもつながっていくのです。