Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

お客様企業における問題の早期発見と
解決へのアドバイス(3)


 問題解決の手順としての五段階を前回のコラムでお話ししましたが、その五段階におけるそれぞれの説明となります。

1)「何が問題なのか」を相互確認する

 第一段階は、問題の理解を一致させること。

 問題解決を図るには、まず、問題解決に当たる人たちが、問題を正しく把握しているか、理解が一致しているかを確認しなければなりません。「何が問題なのか」「何を解決したいのか」全員が「当然分かっているはず」と思い込んでいると危険です。それぞれが自分の思い込みで動き出してしまい、少しでもずれていると解決のために集めるデータや選択・加工する情報に整合性を欠くことになってしまいます。途中で気づいて、確認のし直しとなると、とんだ無駄足です。「何が問題なのか」最も単純なことの意思統一を図ることが最も重要なのです。最初にお互いの見解を聞き合うことです。リーダーは特に、メンバー内に理解のずれがないか内容をよく聞くことが大切です。

 問題が大きくなればなるほど、解決に当たる関係者も多くなります。そのためチームワークが重要になってきます。メンバー間のコミュニケーションの善しあしが解決をスムーズに導くかどうかに大きく影響することは当然のことです。

2)問題の本質を探る

 第二段階は、他部門の意見を聞くこと。

 真の解決のためには、表面的な現象だけでなく、問題の本質を探りながら原因を分析し、現状を正確にとらえようとしなければなりません。そして、問題の直接的・間接的な影響範囲をつかもうとします。その上で、解決案や解決方針を一方的な見方ではなく、さまざまな視点から検討することになります。それを持ちより総合的に判断して問題解決策を決めます。ここでは、自分の担当部門の意見を強調することより、他の部門の意見をよく聞くことが大切です。どこが最も問題の本質に合った解決につながるのか全体から検討することが必要だからです。

3)解決案・方針を検討する

 第三段階は、アイデアを出し合うこと。

 総合的な判断によって問題解決策を決定するときです。よりよいアイデアを出し合うにはブレーン・ストーミングの要領です。ここでは、意見を多く出し合うこと。相手の意見を「それは無理だ」などと絶対批判しないこと。「そのアイデアいただき!それにこれをプラスすれば」など、よく聞いて思考を発展させていくことが重要です。そしてよく話し合い検討を繰り返しながら、解決策を決定します。

4)解決策を実行する

 第四段階は、情報伝達を徹底させること。

 いよいよ問題解決策を実行するときです。知恵を結集して決定した解決策が効果的に実行されるためには、問題解決に必要な情報が関係者全員にしっかり伝わっていなければなりません。ここでも、誤解、勘違いなどのないように相互確認が重要です。

5)予防対策を考える

 第五段階は、日常のコミュニケーションを密にすること。

問題解決は日頃の問題意識が重要です。問題が起こってからでは遅いのです。起こりそうだなと思ったら、先に手を打つ、起こるムリ・ムダ・ムラをなくす意識を持ち、問題点をできるだけ小さいうちに発見する意識や、今後予想される潜在的な問題点も見逃さない意識です。将来さまざまな状況変化に伴う予防対策です。ここでは、日常のコミュニケーションをとりながら、潜在する問題分子がないかよく聞いて考えることが重要です。