Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

「お客様企業の推進役とチームワークの育成・強化」への
アドバイス・スキル(2)


3.「所長の思い」とは

 個人に価値観や個性があるように会社にもその会社の価値観、自社らしさがあります。それは、「所長の思い」が会社の社是、経営理念、CI理念(企業理念)、MI理念(自社マインド)、行動規範、社内規定、業務マニュアルとして表現されているものです。

 社是は、社員一人一人がどのような行動を是とし、どのような行動に重きを置くのかという自社の価値観。経営理念は、社会に対してその会社が何を目的として何を実現するのかを表明したもので、取り扱い製品やサービス等業務内容を通してお客様の幸せづくりに貢献することを明文化したものです。社是や経営理念は、経営戦略策定や意思決定をする際のよりどころとなり、会社の社員一人一人が行動する際の精神的支えとなるものです。

 また、経営理念を具体化したものがCI理念(企業理念)、MI理念(自社マインド)で、前者は、お客様から見た経営理念を実現するための企業としての具体的イメージであり、後者は経営理念を実現するための社員の心構えとなるものです。行動規範は全社員の行動の基準となるものです。それをもとに社内規定、業務マニュアルなどが作成されています。

 それぞれの位置づけは各会社の考え方により当然違ってきますが(下図は一例)、何らかの形で明確になっています。

 しかし、社是や経営理念がいくらスローガンとして壁に貼ってあっても、全社員が文字の意味だけでなく、内容をよく理解し、自分の担当の仕事において具体的行動が分かり、実践できなければ(行動翻訳という)、「絵に描いた餅」に過ぎません。社是や経営理念が立派かどうかより、職場に落とし込み、それを実践する人がいるか、いないかが重要です