Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築
「お客様企業のやる気と目標必達の職場づくり」への
アドバイス・スキル(1)


 目標は常に必達が基本です。目標は持っていればよいのではありません。届かない目標ばかり追っていてもやる気が失せるだけです。来期の具体的な目標設定によって「夢は必ず実現する」「目標は確実に達成する」と教えることが部下の意欲を高めます。また、ゴールに到達したときの達成感が、次の目標へのモチベーションにもなります。

 そのためには、目標設定の仕方、日々の管理、継続の意識づけ、評価分析などきちんとシステム化されていることが重要です。最近の評価システムとしての目標管理では、目標設定は個人レベルです。仕事はチームで行う部分も多くありながら、評価は個人目標設定に対する個人評価です。

 目標管理システムのマイナス影響が広がれば、同僚より少しでもよい評価を得たいという状況で、自分勝手な行動を誘引します。そのような状況での社内の人間関係、職場の雰囲気は、不信や不満に満ちてしまいます。躍動できる状況とは程遠いものです。

 お客様企業がそのような悪循環に陥らず、つねに目標を意識し、その達成を職場のみんなで支える雰囲気づくりができるようにアドバイスしましょう。


1.目標設定上の注意

 目標を設定する時点から部下を支えることが重要です。つまり、本人とよく話し合って相互に納得して目標設定をします。適切な指導と自主性を重んじる姿勢が、意欲を引き出す秘訣です。

1)適切なレベル

 目標は低すぎても、高すぎでもモチベーションに影響します。達成することが困難なほど高い目標ではかえってやる気を失ってしまいますし、低すぎでは簡単に達成してしまうので、物事をなめてかかり、仕事を手抜きする可能性がでてきます。

 また、社員全員が画一的な目標では、これもまた士気を高めることができない場合があります。同じ目標ではその経験、能力差によって達成難度が変わってくるからです。それぞれの個性や能力に応じた適切な目標設定をすることが大切です。

2)サブゴールを設定する

 最終的に達成しなければならない目標を決めるだけでなく、その過程において必要な短期目標、中間目標を決めておきます。そうすれば、いきなり大きな目標に対して目標自体に圧倒されてどこから手をつけてよいか分からない、ということがなくなります。サブゴールを目標に一段階ずつステップアップする考え方ができれば、計画も立てやすく、意欲も継続しやすく、最終目標の達成をより確実にすることができます。

3)公平感を持たせる

 個々に設定する目標にも、公平感が必要です。同じ立場なのに能力によって目標に差がある場合、高い能力を評価された証拠が意欲につながるかどうかは、本人の能力ではなく価値観によります。

 したがって、初めは平均的なレベルの目標に設定しておき、達成率が上がるごとにインセンティブをアップさせ、達成率によってグレードをアップさせるようにします。そうすれば、達成意欲を継続させることができますし、他の部下への動機づけにもなります。特別扱いではなく、達成すれば認められる機会があることを明確にしておくことです。