Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築
「お客様企業のやる気と信頼の職場づくり」への
アドバイス・スキル(1)


 まったく問題のない会社、悩みのない経営者はいないでしょう。健全経営で順調に成長している会社ほど、次の一手をどう打つか、いつ決断するか、経営者はいつも悩んでいるはずです。まして、この不況下では、どこも厳しいのが本音でしょう。

 お客様(経営者)が、あなたに愚痴をこぼすことがあれば、それだけ信頼されている証拠です。経営の不安が社員の疑心を招き、意欲もまばらで不安定になっているようなことがあれば、円高や不況の愚痴だけではなく、社員のやる気のなさへの愚痴も出てくるかもしれません。社員を安定させ、厳しいときこそ一丸となって立ち向かう意欲と信頼を得たいと考えている経営者へ、一言アドバイスができれば、あなた自身の信頼も増します。アドバイスを求められなくても、あなたの何気ない話が、お客様にとって、解決のヒントになれば、さらに頼りにされます。

 「〜こうやってみたらどうですか」と上からアドバイスをしてあげるという態度ではなく、「こんなこともあるらしいですよ」くらいの軽い感じに言うと、お役立ちの立場として効果的です。あなたがお客様の気持ちをしっかり考えて、解決につながるヒントとなるように、投げかけてあげることです。


1.職場の信頼づくりのヒント

 私たちの行動は、「賞罰によってコントロールされるよりもその人の個性と、ともに生きる人々によってつくり出される環境に、より大きな影響を受ける」ということが、行動科学によって示されています。ともに働く人々と築き上げた環境から醸し出される文化において、一人一人の個性を認め、よりよく発揮できるように努力や協力を歓迎する雰囲気があれば、意欲的な職場になります。つまり、社員のやる気を生み出すのは、職場の人間関係が大きな影響力を持っているのです。

 経営者と社員、上司と部下、先輩や同僚同士がお互いに認め合い、支え合える信頼関係ができていれば、どんなに厳しい仕事状況でも、それを乗り越える力を生み出すことができます。

1) 相手の動作を軽く真似してあげると、自然に打ち解けあえる
2) 相手が私的な話題を出したら、耳を傾けて関心を示すと打ち解けあえる
3) 話を聞くときはあいづちを繰り返すと、打ち解けあえる
4) 相手への気配りをさり気なく伝える雰囲気があると、自然に打ち解けあえる
5) 仕事の失敗は何度でも、仕事の弱音は1回だけ許されることを伝えると、相手と打ち解けあえる
6) 相手との会話の回数に比例して人間関係は深まり、信頼が増す
7) 小さな仕事においても協力する回数によって、信頼が増す
8) 愛称をたまに呼ばれると、親しみやすさと新鮮な信頼が生じる
9) 他の社員の悪口や批判は絶対に言わない姿に信頼が増す
10) 素直に喜びを表現し、悲しみ苦しみは耐える姿を見せると信頼が増す
11) けじめのある毅然とした姿を見せると信頼が増す