Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築
お客様に効果的に伝えるスピーチ・センス(1)


 コミュニケーションは、双方向が原則です。「好かれ頼られるリスニング・スキル」を身につけたら、次は話し方です。ただし、ベネフィットドクターに必要なのは、上手な話術ではなく、いかに効果的にこちらの意図を伝えるか、相手に応じて相手の聞きたい話を聞かせられるか、というセンスです。


1.まずは聞き手分析

 お客様と話すときには特に問題はないが、大勢の人の前でスピーチをするのは苦手だ、という人がいます。話す本質は同じなのに、どうしてでしょうか。話す目的は、こちらの意図を効果的に伝えることです。そのためには、それが、相手の聞きたい事と一致していると思わせることが必要です。

 そこでまず、「聞き手」について知ることから始めましょう。「人を見て法を説け」の本質をとらえることです。一対一でも一対多でも話すための基本姿勢は変わりません。

1)話す前に考えるべきこと

 人は基本的に自分の話をするのが好きで他人の話を聞くことをあまり好みません。はっきり言って苦痛です。だから、まず目の前の相手をあなたの話を聞く態勢にある「聞き手」にしなければならないのです。そのためには「聞き手」の特性、すなわち年齢、性別、学歴、役割(役職)、経験などから理解力・判断力や傾向・要求点など相手情報を得ます。さらに「聞き手」の本質を知ることによってその対処法を考え、どう話すかを工夫する必要があります。あなた=「話し手」は自由に発言することができます(発案権)が、話の受け取り方を自由に決定できる(決定権)のは「聞き手」なのです。

 「聞き手」に共通の本質と対処法は次の4点です。

a.あきっぽい

 喜んで聞こうとしても人が話に集中できる時間は15分くらいといわれています。常に関心、興味を失わせないように、具体的に話す努力が必要です。また、好感情をこめて情熱的に訴えるように話すことも重要です。

b.外的条件に左右される

 すぐ気が散るので、話に集中できる場の雰囲気づくりが大切です。もし、音響機器の不調や外の騒音、虫の侵入などがあれば中断して聞き手が落ち着くまで待つことも必要です。

c.内的条件が変化しやすい

 人は話だけに集中しているのではなく、自分なりに考えながら聞いています。時には話の内容に関係のない雑念も含まれるので、相手の態度をよく観察して心理を汲み取る必要があります。

d.親近性を持ちやすい

 聞くのが苦手な反面、相手に関心を持ち、話を聞いてより親しみを感じたいという矛盾した心も持っています。あなたの話に大いに期待しているのです。期待を裏切らない話し方をする工夫が必要だということです。