経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築 お客様を納得させる営業センス（７） 関連商品のお勧めの工夫 　お客様の決意と行動の第７段階までたどり着きました。最後のアピールは関連商品のお勧めです。さらに売り上げアップを図ることはもちろんですが、お客様には商品そのものに満足してもらうだけでなく、お客様にメリットをもたらす、お役立ちの心を持った営業パーソン自身をアピールすることにより、リピート率を高めることが目的です。 　ネクタイを買ってくれたお客様に、「ご一緒にこちらのワイシャツはいかがですか。こちらのパンツはいかがですか。こちらのスーツなども……。靴ならこちらが……」というお勧めは、ついでに欲しかった人なら、「ちょうどよかった」と心を開いてくれるでしょう。専門家のトータルコーディネートによってセンスアップできた、と感謝する人もいるかもしれませんが、予算オーバー、「押しつけ」感はぬぐえません。 　お客様にワンランクアップを提案するには、せいぜい一、二品です。 　例えば、デパートでのお勧め提案指導での話。 　ネクタイにプラスするのは、一つは２００円程度の携帯用「シミ取り剤」。ネクタイやワイシャツなどに、ついシミを付けてしまうことはよくあります。おろしたての時だったりすると、本当に情けなくて気持ちが沈んでしまうでしょう。まして、大事なお得意様のところへ伺う直前だったりすると絶望的です。そのようなとき、「シミ取り剤」を携帯していればずいぶん助かります。そこで、ネクタイやワイシャツを購入されるお客様に勧めするようにしたのです。万が一に備えた「サポート商品」まで用意している気の利いたお店ということになり、大好評を得ました。レジのところに置いておく等、目に付くようにしておけば、値段が安い上、会社の机やロッカーだけでなく、家庭用にも役立つ備品として、まとめて買われるお客様が少なくありませんでした。 　もう一つは、同じ種類または類似商品を２点売るというものです。例えば、お客様がネクタイを１本選んだら、同じ色合いで違う柄のものか、あるいはまったく雰囲気の違うネクタイをお勧めするのです。男性のスーツは毎日変えませんが、ネクタイは毎日替えます。しかし、スーツが変わらないので自ずと絞めるネクタイも決まってきます。印象のポイントとなるネクタイに豊富なバリエーションがあれば、スーツを変えなくても全体の印象もおしゃれな感じになるでしょう。２本目のネクタイは、さらにどのようなスーツに合うか、どんなシーンに向いているかなどをアドバイスしてあげるととても喜ばれます。まさにお客様の視点に立ったお役立ちができているからです。そして、「またあなたのアドバイスを聞きに来たい」となるのです。