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上司、および同僚の言動(Behavior of supervisors and peers)
2005年のNBESによると、経営トップが4つの観点(倫理の重要性を語る、従業員に周知徹底する、約束を守る、倫理的行動の模範となる)から倫理的に行動していると実感している従業員は、「トップは倫理、倫理と言うが行動が伴っていない」と感じる場合に比べて不正行為に及ばない傾向が強い。調査結果では、同様に、同僚の言動に対する受け止め方が従業員の倫理的行動に影響を与えるということも示した。同僚が倫理的に行動していると認識すれば、自分も倫理的に行動する可能性が高まる一方で、職場における同僚の不適切な行為が目に付くようになると、その従業員自身も不適切な行為に手を染めやすくなる。
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業界における倫理慣行(Industry ethical practices)
特定の非倫理的行為が慣行(standard practice)であると見なされているような業界で働く従業員は、そのような行為に違和感を覚えなくなってしまう。例えば、請求書の時間単価(hourly billings)を「水増し」することが横行している業界では、従業員はそのような行為を通常の業務行為であると受け止めるようになり、言われなくとも、自らも同じ行為を行う。反対に、日常的に倫理的な言動を奨励するような環境で働く従業員は、より倫理的な行為を通常であると考える。
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社会の道徳観(Society's moral climate)
多くの人間は、非道徳的な行為により自分の友人や家族、周囲の人々(community)から非難を受けたいとは思わない。しかし、社会がある特定の非倫理的言動を容認してしまう状況下では、道徳に反する行為が起きやすくなる。例をあげると、1950年代には製造業者の多くが日常的に大量の化学廃棄物を湖や河川に投棄していたが、それに対して社会からは非難の声がほとんどあがらなかった。しかしながら現在では、そのような行為は許しがたいものとして社会的に糾弾されるようになった。
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組織の正式な倫理方針(Formal organizational policy)
組織として「非倫理的な行為は決して容認しない」と宣言し、その方針を強固にするべきである。もし企業がある違反行為から常に「目を背ける」ならば、従業員はそのような違反行為は取るに足らないものだと考えるようになってしまう。 |