顧問税理士次第で融資が違ってくるワケ


第3回 税理士と銀行の間のもちつもたれつの関係

 税理士は、銀行マンにとって垂涎の融資先を多く抱えるキーマン的な存在です。優秀な税理士なら顧問先は100〜300社以上ありますから、ぜひお近づきになりたいというのが本音でしょう。

 銀行マンは既存の取引先とだけ付き合っていては、貸出残金が減っていくだけです。一方、個人からの預金は増える傾向にありますから、どうしても新たな取引先を開拓していく必要があります。

 新規開拓のためには「アプローチ先リスト」を常に更新しなければなりません。これがなければ銀行マンの営業活動は前に進みません。

 そのリストに載せられるのならば、たとえ1社でも優良の貸出先を紹介してほしいと思うのが銀行マンの願うところなのです。

 そのような銀行マンに対して、税理士はしばしば融資先の企業を紹介します。

 融資先を紹介してそれで終わりではありません。できる限り高い確率で融資が実行されるように書類を作成したり、支店長への面談時には経営者に同行するというようなサポート業務を行なっています。

 銀行マンは、そのような税理士を数多く見ていますから、優秀な税理士はすぐに見分けることができます。

「○○先生の顧問先は、健全な経営をしている企業が多い」
「××先生からの紹介は、本店審査部のOKが出る確率が高い」
「おそらく普段から経営に対して適切なアドバイスをしているのだろう」

など、簡単に察しがつくのです。

 融資案件を通じて仲良くなった税理士には銀行のほうから、「じつはうちの取引先で、数字をしっかり管理できていない会社があって、私どもとしてはそこが不安要素で、今後資金がしっかり回収できるか不安です。○○先生の話は先方に通してあります。一度お会いいただけませんでしょうか」というような依頼をしているのです。

 税理士は銀行へ顧問先を紹介し、銀行は税理士へ取引先を紹介する。これはどちらが上で、どちらが下というのではなく対等です。

 税理士と銀行の間には、もちつもたれつの関係性が成り立っているというわけです。