税理士業界ニュース
(2016年11月)

ビジョナリーサミット2016

参加した事務所が3年後の成功ビジョンを描けるようになるための先進的なイベント

 「会計事務所のビジョナリーサミット」は2012年にスタートした。「会計事務所のビジネスをどう成功させるのか」「3年後の強い事務所づくり」をテーマに、著名講師陣の講演をはじめ、参加者同士の円卓会議、各種展示・デモなどで構成される、会計業界の先進的なイベントの先駆けとしてスタートし、今年で5回目を迎える。

 ITテクノロジーの進化、クラウド会計の急速な発展など、競争が激化する一方の会計業界で生き残るため、そして3年後の成功ビジョンを描けるようになるためのイベント、それが「会計事務所のビジョナリーサミット」だ。

多彩な構成でインスピレーションを与える

 「会計事務所のビジョナリーサミット」は、主に以下の4つで構成される。

  • 成功事例
    注目の会計事務所による成功事例発表。新しいツールや手法、考え方からインスピレーションを得られる。
  • 円卓会議
    ビジョナリーサミットの大きな特徴でもある。参加者同士のディスカッションを通じて、講演内容を今後取るべき具体的行動に落とし込む。
  • 展示・デモ
    全国2200事務所が導入しているクラウドシステムをはじめとした最新ツールやそれを活用したビジネスモデルを紹介する。
  • 交流会
    セミナー後には、講師や参加者と交流を図れる情報交換会の場を用意している。
壁を乗り越えた税理士と活躍する職員が登壇

 ビジョナリーサミットの午前中は、「成長の壁を乗り越えた3人の税理士」と題して、成長の壁にぶつかり、それを乗り越えた3人の税理士にご登壇いただき、当時の悩みと解決方法をお話しいただく。
・鶴田幸久税理士(税理士法人鶴田会計 代表社員)
・才木正之税理士(御堂筋税理士法人 代表社員)
・岡野訓税理士(税理士法人さくら優和パートナーズ 代表社員)
 所長税理士は「営業・マーケティング」「採用・教育」「サービス内容の開発」など、多種多様な悩みを抱えている。事務所を成長・発展するためには、悩みを一つひとつ解決するしかない。
 自分と似た境遇の会計事務所所長が、いかにして悩みを克服していったのかが聞ける貴重な講演を、ビジョナリーサミットでは用意している。事務所を発展させたいと考えている所長税理士にとって、必ず役立つはずだ。

 午後の部は、今回のメインテーマにあたる「職員が活躍するための仕組みづくり」について、4つの会計事務所にご登壇いただく。
・税理士法人斎藤会計事務所
・税理士法人中山会計
・成和税理士法人
・No.1税理士法人
 それぞれ事務所で活躍中の職員の方も登壇する。多様な成功事例に触れ、インスピレーションとモチベーションが大いに刺激されることだろう。ぜひ職員の方と一緒にご参加いただきたい。
 今回は、午後の部でご登壇いただく4事務所の事例を紹介する。

事例1
職員の後押しで資産税チームを結成!3年間で案件50件増を実現!!

 税理士法人斎藤会計事務所では、2012年に資産税チームを結成し、収益の柱のひとつとした。チーム発足を後押ししたのは、職員の和田健二氏から出た「ぜひ資産税業務に力を入れたい」の声だった。
 斎藤会計事務所はもともと法人顧問が中心で、法人設立等に強みを発揮していた。一方、資産税相談案件の増加を受け、斎藤英一代表税理士も資産税に力を入れたい思いはあったことから、資産税チーム発足を快諾した。
 結成当初、資産税チームがぶつかった壁は「集客」だったが、地元の金融機関、法人会、商工会議所などの既存のネットワークを活用し、相続をテーマとしたセミナーを開催し、集客に努め壁を乗り越えた。
 資産税チームは2013年からの3年間で、資産税案件50件増加という成果を出した。斎藤氏は「資産税チームができて、皆が相続や事業承継の案件に積極的になれました」と語る。法人顧問先の相続・事業承継案件は、法人担当者が扱うが、資産税チームがサポートすることで、担当者は安心して案件を受けられるようになり、さらなる案件獲得へとつながっている。

事例2
年間で新規法人顧問先50件以上獲得!成長・発展の文化づくりに努める

 2017年に開業50周年を迎える税理士法人中山会計は、地元に愛される会計事務所として、新規顧客を獲得し、次々と新サービスを打ち出している。昨年の新規顧問先数は約50社。個人事業主の確定申告を含めると新規案件の数は100件を超える。ナンバー2として、経営の中心的存在となっているのが、14年前にパートとして入社した小嶋純一税理士だ。
 「日本一の会計事務所職員になる」という目標を掲げた小嶋氏は「何でも自分に任せてほしい」とお願いし、実直に業務を遂行してきた。そして、たどり着いたのは、独立という道ではなく、伝統ある中山会計を、さらに永年続く企業にしていきたいということだった。
 現在、小嶋氏は中山会計の文化づくりに奔走している。そのひとつが「全員営業」だ。ノルマは重視せず、全員で案件を獲得していくスタンスを示し、成果を共有し、成果が出たら全員で喜ぶ文化を形成できるよう努めている。
 現在、週に1回、午前中に職員全員参加のミーティングを実施。小嶋氏は文化づくりに手ごたえを感じている。

事例3
年間20件以上の新設法人をWebで獲得!クラウド会計活用で満足度を高める

 成和税理士法人は広島県呉市を拠点にしていたが、3年前に広島市に新店舗を設立した。代表の上中田成二税理士・中小企業診断士・社会保険労務士の戦略の下、広島事務所ではスモールビジネス層をターゲットにし、創業支援などのサービスを提供している。
 広島事務所で契約した顧客の半数はホームページからの問い合わせが占める。平成26年度は21件、平成27年度は23件の新規契約をホームページから獲得した。ホームページ内のブログを毎月更新し、インターネット上位検索を実現させている。
 ブログ更新を担当している大島沙緒理行政書士は「内容のほとんどは会社設立です。法律に関することなので、慎重に言葉を選んで記事を作成しています」と、ブログ執筆の注意点について語る。
 広島事務所は完全来所型にしており、多くのお客様を担当できる体制を敷く。一方、来所型事務所として仕事をしていくことで顧問先との接触頻度が減少する。この問題をクラウド会計ソフトCrewの活用で解決。メッセージ送信機能で速いレスポンスを徹底し、顧客満足を高めている。

事例4
記帳代行件数を20件まで増加させる職員発の業務改善方法

 No.1税理士法人が業務効率化に着手したのは2015年夏。当時は業務効率が芳しくなく、職員1人当たり7、8件しか担当できない状態。業務は派遣社員中心で人件費がかさみ、業務効率化が急務課題だった。
 藤浪伸治代表社員税理士は、まず処理滞留の見える化を進めた。次に資料回収の改善を実施。続いて、顧問先ごとにバラバラで、非効率の元凶になっていた勘定科目の統一に着手した。
 業務効率化に貢献したのが、職員発案の入力フォームだった。発案した職員は実務経験がなく、会計ソフトでの入力ができなかった。そこで自らエクセルを使って入力フォームを開発し、たちまち業務効率がアップした。それを見た藤浪氏ら幹部社員は、この入力フォームを社内全体で採用した。
 オペレーション簡素化により、採用時のスキル条件の緩和、人件費削減が期待できる。売上増に向けてはCrewを導入し、収支把握と資金予測機能を活かした新サービスを提供、No.1税理士法人は1人当たりの記帳代行件数が20件まで増加することが、現実味を帯びてきた。


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