税理士業界ニュース
(2016年2月)

第12回新春感謝祭2016 開催レポート

300人前後の会計人が付加価値を求めて集結

 今回の回の新春感謝祭のテーマは「感動と付加価値」。延べ300人前後もの会計人が新春感謝祭に集まった。

 今回の新春感謝祭は1月19日(火)、20日(水)の2日間にわたって、東京・恵比寿のEBiS303にて開催。19日が「豪華開催!有料専門セミナー」と題して、感動と付加価値を与えるヒントとなる講演がコーディネートされた。20日は「顧客満足、事務所経営の成功事例」と「事業承継・M&A・民事信託・保険事例」と一歩踏み込んだ感動と付加価値事例を多数紹介した。

 新春感謝祭1日目・19日のオープニングは、弊社執行役員・東京営業所所長・西澤健太による講演「『2016会計事務所の経営白書』解説」が行われた。弊社で同日に発売した『2016会計事務所の経営白書』の内容の一部に関して解説を行った。

 その後は平野秀典氏(感動プロデューサー、公演家、作家)が「感謝される会計〜ファンを生み出すドラマ思考のススメ〜」というテーマで講演した。感動プロデューサーという肩書きを持つ平野氏は、舞台俳優の経験を生かした独自の感動創造手法を披露。講演後には著書のサイン会が開かれ、感動冷めやらない参加者が長蛇の列をつくった。


FinTech革命によって会計事務所はどう変わる?

 基調講演は弊社代表取締役・広瀬元義による「FinTech革命がもたらす会計業界への影響─仕事の変化と価値創造─」。クラウド会計という最新テクノロジーの普及が進んでいる現在、会計事務所はどのようにビジネススタイルを変え収益構造を見直し、感動と付加価値を創造していけばよいかを説いた。

 1日目最終は「速報!平成28年度税制改正のポイント」だった。平川忠雄氏(税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員・税理士)を講師に招く、毎年恒例の人気セミナーである。160ページを超えるボリュームある資料をベースに進める、平川氏のポイントを押さえた解説に、参加者は真剣にメモを取っていた。

 セミナー終了後は賀詞交歓会を開催。感動と付加価値に対する新たな決意を胸にした会計人同士が交流を深めた。

 賀詞交歓会では表彰式も実施。弊社サービス活用を通じて成果を上げ、顧客に感動と付加価値を与えた会計人や士業らが壇上で賞美を受けた。


事務所のスタートダッシュ戦略を事例を交えて大公開

 2日目の1月20日(水)は午前中に、2016年に発足した2つの「会計事務所分科会」のプレ定例会を同時開催した。今回はそれぞれの内容を紹介する。

 ひとつめは、開業5年以内、もしくはこれから独立開業予定の税理士を対象とした「会計事務所の成長実務研究会」である。この会場には、売上1億円、職員10人以上を目指す税理士がノウハウの共有・習得をするため集結した。

 講演は、森下敦史氏(森下敦史税理士事務所 所長・税理士)に「開業2年で顧問先150件増加した会計事務所のスタートダッシュ戦略公開」というテーマで、営業・マーケティング手法について話していただいた。

 森下氏がマーケティングを考える上で意識していることは、「事務所のブランディング」である。独立開業前から、書籍やセミナーからノウハウを学び、お客様の信用の上げ方を考え続けたという。

「税理士は、全国に7万人もいます。東京だけでも2万人いるという状況です。なので、他の税理士よりも目立たなければならないと思いました」(森下氏)

 そこで事務所内で注力したのが、「Webマーケティング」と「顧問先からの紹介獲得」である。森下氏は2015年の1年間で120件近くの顧問先を獲得した。そのうちの50件はホームページ経由から獲得し、40件は顧問先からの紹介だった。2つの活動だけで、獲得件数の8割弱を占めているのだ。

 また、「Webマーケティング」と「顧問先からの紹介獲得」は、コストパフォーマンスがいい。例えば、紹介会社を利用して新規顧問を獲得した場合、紹介手数料として年間顧問料の50〜80%を支払わなければならない。しかし、森下氏のWebマーケティング費用は、新規顧客1件当たり5万円程度である。顧問先からの紹介案件は、費用はかかっていない。

「独立開業した当初は、顧問先も職員もまったくおらず、営業から事務処理まで、私一人でやらなければいけませんでした。だからこそ、効率的に顧問先を増やす方法を考えたのです」(森下氏)

 「5年で職員30名、売上3億円」という目標を、森下氏は掲げている。数字に落とし込まれた明確な目標を持つことは、現状との比較をすることができ、事務所の成長につながるからだ。「目標は高く設定しています」と語る森下氏からは、熱い思いを感じ取れた。

 森下氏のような若手税理士と共に成長していきたいと感じた方は、ぜひ「会計事務所の成長実務研究会」の加盟を考えていただきたい。営業・マーケティングの手法だけでなく、採用や事務所経営のノウハウも提供していく予定である。


売上5億円、職員50人以上のビッグファームを目指す

 もうひとつの分科会は「ビッグファームを目指す会」。売上5億円、職員50人以上のビッグファームを目指す税理士を対象とし、事務所経営上のさまざまな課題について事例を持ち寄り、学んでいく。

 メインとなる講演は、柴田昇氏(税理士法人SBCパートナーズ代表社員・税理士)が「SBCの人財育成と具体的な取り組み」と題して、これまでの軌跡を話した。

 1994年12月、柴田会計事務所として開業して以来、21年強の業歴を重ねてきたSBCパートナーズ。2005年8月に税理士法人化し、現在は大阪本店のほか、5支店(名古屋、浜松、東京、湖西、横浜)と上海事務所を擁する。グループ全体でスタッフは約100人。開業から21年連続増収増益を続ける。

 成長のキーワードとして柴田氏は「理念と利益」と、ホワイトボードに記した。

 SBCパートナーズの経営理念は「元氣」を主軸として「従業員と家族の幸せを実現します」「お客様の成功を実現します」「人財を創り社会の発展に貢献します」の3点を掲げる。また、利益のうち3分の1を内部留保とすることで、経営を盤石なものにしている。

 21年連続増収増益を実現する仕掛けのひとつとして、柴田氏は「早朝社長ミーティング」を挙げた。決算を迎える顧問先について、朝7時に柴田氏参加の下、事前打ち合わせを実施。各支店の顧問先についても、ビデオ会議を行う。全顧問先について打ち合わせを徹底することで、業務品質を高め、業績アップにつなげている。

 人財育成の一環として、多彩なイベントを開催するのもSBCパートナーズの特徴。「経営計画発表会」「幹部合宿」「社員研修旅行」「社長と夢を語る会」「日本一の会(富士山、琵琶湖、伊勢神宮など『日本一』のスポットに行く)」「ファミリーウィーク(スタッフの家族をオフィスに招く)」「環境整備(月初の半日間、特定の箇所の清掃を徹底)」などを通じて、経営理念を理解して業績向上に貢献できる人財へと育っていく。

 講義後は質疑応答。SBCパートナーズの取り組みについて、本音を交えた質問が飛び交った。予定していた参加人数を上回り、追加席を用意するほど好評だった「ビッグファームを目指す会」のプレ定例会。今後の盛況が期待される。


総勢13人が登壇し事例のオンパレード

 午後からは「事務所経営事例」と「事業承継・M&A・民事信託・保険の事例」を発表。総勢13人が壇上にて講義を行った。

 「感動と付加価値」を与える手法は無限にある。事例やノウハウをインプットした参加者は、明日への希望を胸にふくらませて、会場をあとにした。


“2016会計事務所の経営白書