税理士業界ニュース
(2015年2月)

成長している事務所の「成功の法則」
「2015会計事務所の経営白書」統計分析


 「2015会計事務所の経営白書」が発刊された。本書内では当社製品をご利用いただいている先進的な事務所に向けて行ったアンケート調査の結果も収録している。全国の会計事務所の平均売上が約3,500万円と試算されるなか、アンケート回答事務所の平均売上は約9,376万円。2倍以上の成長力を持つ事務所はどんな施策を行っているのか。


統計1 4割の事務所で営業担当職員が「いる」と回答

 「営業担当職員の有無」を尋ねたところ、4割の会計事務所で「いる」との回答が返ってきた。

 もちろん多くの場合は営業専属ではなく、実務と兼任だが、「営業が(も)仕事」とされている職員が増加傾向にあるようだ。「2015会計事務所の経営白書」では、「新規開拓数を増やしている事務所」の約8割が所長+スタッフ、もしくはスタッフのみで営業を行い、「新規開拓数を減らしている事務所」の5割は所長のみで営業活動を実践しているとの結果が出ている。

 顧客獲得競争が激化するなか、所長単独で新規獲得を行い、職員は実務のみというスタイルでは顧客数を順調に伸ばしていくのが難しくなっていっているのは確かなようだ。

グラフ1 営業担当職員の有無


統計2 7割が年商5,000万円未満の小規模層をターゲットに

 グラフ3は「2014年新規顧問先の主な年商規模」を表している。最多層は「3,000万円未満」の42.6%。実に7割強が年商5,000万円未満のスモールビジネス層という結果が出た。

グラフ3 2014年新規顧問先の主な年商規模

 これまで、こうした小規模事業者は「お金にならない」「手間がかかる」といった理由で、会計事務所が敬遠してきた層でもあった。しかし、これらスモールビジネス層は、今後良質顧客へと成長する可能性を秘めているという見方もある。来所型事務所、クラウド会計など、新しい仕組みを活用して低単価を件数でカバーすれば、事務所の業績アップにつながるだろう。

 グラフ4は「2014年新規顧問先の主な年齢層」を表す。30代以下が過半数を占め、40代も含めると、8割近くに達する。これは、起業間もないスモールビジネス層を取り込んでいることを示している。

グラフ4 2014年新規顧問先の主な年齢層

 成長を続けている事務所では、30代を中心とした若手経営者のスモールビジネス層を取り込み、顧客としている様子が見て取れる。

 事務所の成長において、どの顧客層をターゲットにしていくかの見極めは大きなポイントだ。

 現在の平均顧問料の価格帯や顧問先数についても調査を行っている。

 平均顧問料は同調査の母集団においては、3万円台が約半数の50.7%に上り、2万円台も30.4%と3割を占めた。「2012会計事務所の経営白書」では、年間顧問料の相場が35万円前後と記しているが、その当時から比べると、若干顧問料水準が上がったものと推測される。

 顧問先数は事務所規模によるが、同調査では100件台28.9%が最多層。続いて、50〜99件(17.8%)となっている。

グラフ2 営業担当職員の数


2015会計事務所の経営白書(トレンド)