(2014年8月)
全国の所長先生が考える 会計事務所はなぜ成長できないのか? 1億円事務所を作るために必要なことは一体何? 会計事務所が成長しない理由はどこにあるのか? 所長、職員、営業・マーケティングなどの側面から、事務所を率いる所長先生はどのような点を問題として捉えているのか、実際の声を伺った。 個人から組織の「経営者」へ視界のチェンジをいつ行うか 一般的に、小規模な会計事務所の所長の「取り分」は、売上の約1/3と言われている。事務所全体で3千万円の売上があれば所長先生の年収は約1千万円、一般的なサラリーマンと比較すれば十分な高額だ。 食べていくには十分な金額を手に入れられたことで「そもそも大きくする気がない」という所長もいるのが会計事務所業界だ。 また、大きくしたい、成長させたいと願いながらも「職人気質」「個人主義」のまま業務を行ってしまい、リーダーシップを発揮できずに組織を大きく伸ばせないというケースも見られるようだ。 会計事務所に限らず、何らかの組織を成長させようという際に「目標・理念の欠如」は大きな阻害要因となる。 何のために事務所は存在しているのか、いつまでに何をどれくらい達成しなければならないのかといった言葉・数字が曖昧ではスタッフ・職員は自立的に行動できない。文章、具体的な数値を本や冊子にし、いつでも共有して見られるようにして初めて組織はひとつになる。 営業力をどう身に付けるか「脱職人」の視点が必須 会計事務所にも営業力、マーケティング戦略が必要というのは長年言い続けられている通りだ。 とはいえ、マーケティングに予算や人員を割くことをためらう事務所もまだ多い。 全国でもっとも競争の熾烈な東京都においてでも、全863件ある税理士法人のうち約25%の214件が事務所ホームページを持っていない(税理士業界ニュース調べ)。 顧客や他士業からの紹介など、別のチャネルからの顧客獲得手法を確立している事務所ならともかく、ただ待ちの姿勢でいるだけでは事務所の成長は望めない。 外部要因として挙げられている「競争が激しい」「二極化の進行」といった事柄を受けて、事務所としてどのような営業戦略を立てるのか、職人としての視点から脱却し、事務所の経営者として考える必要がある。 顧客である企業や経営者の環境変化も厳しさを増す一方のようだ。 顧問料の低価格競争は2年前を底に昨年は一部盛り返した。その一方で、多くの会計事務所で作成しているホームページで顧客は比較検討し、相見積もりを取るのは当たり前になっている。 事務所の強み、専門性、ブランディングなど何らかの魅力を作り出し、見込み客にアピールすることが求められる。また、問い合わせを成約するためのクロージング力の強化も大きな課題といえるだろう。 変わるのは所長自身戦略は専門家に任せよう では、これらの問題を解決して事務所を1億円規模に成長させるためには何が必要なのか。 手法はたくさんある。しかし、一番最初に変わらなければならないのは所長自身だ。 所長自ら会計事務所の実務からすぐに離れ、まずは経営者になる。これがもっとも大切なことだろう。 現場の職人の目線と組織の経営者では必然的に視える景色が異なってくる。新しい視点から視える景色を具体的に変えるためには、マーケティングやセールスの知識や手法、ツールが必要だ。 Web、セミナー、DMなどの手法はもちろん、どのようなマインドセットが必要なのか、事務所をどう運営するべきかといった戦略まで一人で考えるのは難しい。 これら具体的な戦略や戦術については、その道のプロに任せるのが一番だ。 売上1億円を目指して、やるべきことはたくさんある。 会計事務所にとって職員は宝。どのように採用し教育するのか、経営者としての視点が求められる。 |