税理士業界ニュース
(2013年12月)

開業10年で世代差明確化

「2014年会計事務所白書」で明らかになった
新人事務所とベテラン事務所のギャップ


 税理士業界ニュースでは「税理士実態調査アンケート」をDMや主催セミナーの参加者に配布して実施。今回は「顧問料」に関するアンケート結果をピックアップする。

 現在、会計事務所がもらう月額顧問料は全体的にどれくらいなのか?

 他の事務所はどんな状況なのか?

 関心は高い。

 一般的に弊社のサービスを活用したり、セミナーを受講している会計事務所は、事務所経営を真剣に考え、新規拡大に前向きなケースが多い。よって、税理士業界全体での結果とは若干のずれがあることを大前提にして話を進めたい。

 アンケート結果を集計してみると「開業10年未満の会計事務所」と「開業10年以上の会計事務所」との間で結果にギャップが生じていることが判明した。

 本特集では以後、開業10年未満の会計事務所を「新人事務所」、開業10年以上の会計事務所を「ベテラン事務所」と称することにする。


開業10年未満事務所は顧問料の二極化が進む

 法人の平均顧問料に関するアンケートでは、ある結果が出た。

グラフ1

グラフ2

 グラフ1は「新人事務所」の、グラフ2は「ベテラン事務所」の平均顧問料(法人)を示している。

 大きな違いは「新人事務所」は、1万〜2万円台の低額な顧問料が主流の事務所と、5万〜10万円クラスの高額顧問料を主体とする事務所への二極化が進んでいることだ。2万円台以下の事務所が25%を占める一方、4万円台以上の事務所が約26%とほぼ同じ割合に達している。

 開業から間もない会計事務所というと、顧問先がまだ少なく、高額報酬が期待しづらい新設法人の顧客が多いことから、低価格の顧問料が主体になりがちだ。しかし、その一方で早々に強みを打ち出し差別化を図り、高単価へとシフトしている事務所が少なくないことが読み取れた。

 一方、「ベテラン事務所」は、かつてのスタンダードな価格帯である3万円台が実に6割近くを占めている。一方で4万円台以上の高額顧問料が主流な事務所の割合が20%をわずかに割り込み、2万円台以下の事務所が2割強に達している。

 「ベテラン事務所」のほとんどが2002年の税理士法改正前から開業している。報酬自由化以前の規制に守られた状態からそのままの報酬体系で、顧問先からの要請に応じて、ずるずると値下げしているのが現状ではないだろうか。今後は顧問料2万円台以下の割合が、もっと高くなる可能性がある。

 この流れにどう対応していくか、事務所の判断が求められる。