税理士業界ニュース
(2013年5月)

あなたの事務所はマーケティング手法をどれだけ持っていますか?

費用高騰によるWebマーケティング傾倒のリスク

 「SEO対策やリスティング広告といったWebマーケティングの費用が高騰しているので、一事務所が自力でWebにて新規顧客を獲得していくのは限界があります。これからはアナログ手法を交えて営業をやっていく必要がありますね」

 「今は一つの営業のやり方だけではリスクが大きいです。HP、紹介、紹介会社など複数のルートを確保しておかないと、見込み客がすぐになくなってしまいます」

 これらは、積極的に新規拡大を進めている税理士たちの声である。もちろん、現在の会計事務所マーケティングの中心はWebであることには変わりはない。税理士や会計事務所を探すときにインターネットで検索するという流れは変わらない。事務所の存在と価値を伝えるために、引き続きWebマーケティングへの注力が必要なのだ。

 一方、今やリスティング広告やSEO対策といったWebマーケティングにかかる費用は高騰の一途。よって、一会計事務所がWebだけに傾倒して新規獲得を実践するのは体力の消耗を招き、リスクが大きい。その影響で複数のマーケティング手法を実践する動きが目立っている。

 主なマーケティング手法を挙げてみよう。まず、Webマーケティングだけでも、これだけの手法がある。

●ホームページ
●ランディングページ
●メルマガ
●ブログ
●ツイッター
●facebook
●リスティング広告
●SEO対策

 一方、アナログ的マーケティング手法では、主に以下が挙げられる。

●DM
●FAX
●セミナー
●銀行からの紹介
●他士業からの紹介
●保険営業マンからの紹介
●看板

 ここ最近、新規獲得に成功している会計事務所は、Webマーケティング一本だけに絞らず、上記のようなアナログ的手法にも回帰し、成果を上げている。

 しかし、複数の新規獲得方法を組み合わせて実践すれば、それだけで成功するわけではない。新規獲得のトレンドは目まぐるしく変化する。1年前にある事務所で成功した手法が、今では通用しなくなるケースは珍しくない。複数のマーケティング手法を実践するだけでなく、常に新しい手法を編み出してトライしてみる必要があるのだ。


最低でも年300万〜500万円のマーケティング予算が必要

 では、複数の手法を組み合わせて、なおかつ常に新しい手法を編み出して新規獲得を実践するにあたって、重要なのは何か。それはマーケティング予算の設定だ。

 これまで事務所でホームページを制作・リニューアルしたり、リスティング広告を出したり、DMを出すというようなマーケティング活動を行う際、場当たりで「今、資金があるかないか」という観点だけで決定していないだろうか。これからは、1ヵ月に50万円以上、最低限でも年間300万〜500万円程度はマーケティング活動にかける予算を計上しないと、新規獲得は難しい。予算を設定して、どのようにマーケティング活動に費やしていくかは、所長の重要任務でもあるのだ。

 複数の手法を組み合わせた新規獲得を行う際、どんな手法があるのか、あるいはどんな手法が事務所にマッチしているのかを知るためにはどうすればいいか。最も大切なのは情報収集だ。

 日進月歩で変化する現代は、新規獲得手法のトレンドが日々変化する。税理士は今まで以上に高くアンテナを張り、新規獲得に関する最新情報を入手し、自分に合う営業手法を選び、事務所にマッチするようアレンジなければいけないのだ。

 では、最新情報はどこに集まっているのか。ある税理士は次のように語る。

 「人の成功事例を聞くのが一番勉強になります。それを参考にするのが新規拡大の近道。だから税理士が事例を発表してくれる場には欠かさず顔を出しています」

 新規獲得のアクションの第一歩は、一つでも多くの成功事例を入手すること。そうすることで、新規獲得の可能性が広がる。