税理士業界ニュース
(2013年3月)

2013年確定申告を売上増のチャンスに活かそう!

 現在は確定申告シーズンの真っ只中。どの会計事務所でも確定申告が第一優先順位の業務になる。

 「確定申告は大きなビジネスチャンス」。税理士ならば誰もが思うことだ。しかし、商機の大波へと高められるかは、会計事務所のアクション次第。何の行動も起こさなければ、ただの繁忙期で終わってしまう。

 確定申告の顧客は法人設立や資産税案件の予備軍にもなるだけに、フォローと囲い込みをしっかりと行うことが欠かせないのだ。


繁忙期に終わらせずフォローと囲い込みを!

 「確定申告が終わったらフォローしないでそのままなのが現状ですね」「確定申告のお客様は、だいたい次の年も頼んでくれるから、特に何もしていません」

 何人かの税理士に質問してみると、これが確定申告に対する現状かもしれない。しかし、確定申告を単なる繁忙期で終わらせてしまってはもったいない。大きな商機へと高められる可能性を大いに秘めているからだ。「確定申告のお客様に対して、特にフォローをしているわけではありません。しかし、件数が少しずつ減っているので、そろそろ何かしないといけないでしょうね」

 一方で、こんな風に多少でも危機感を抱き始めている声が聞こえるのも事実。2013年を「確定申告からの新規拡大元年」と位置づけ、アクションを起こす必要がある。

 確定申告をビジネスチャンスにする方法は3通りある。

1.確定申告の顧客を法人化等で月次の顧客にする
2.確定申告の顧客から相続や不動産譲渡の案件を得る
3.確定申告の顧客から紹介を得る

 これらのうち、最も手っ取り早いのは3の「確定申告の顧客から紹介を得る」である。いかにして紹介を得る仕組みをつくるかが重要だ。


アンケートを実施し紹介を募る

 確定申告をきっかけに新規拡大を図るにあたって欠かせないのは、申告終了時のアンケートである。

 「確定申告の業務が終わればそのまま」という事務所が多いが、次につなげるための営業手法としてアンケートは有効だ。内容はシンプルで、以下の3つを質問し、それぞれ5段階評価してもらうとよい。

〔質問1〕確定申告での当事務所の対応はいかがでしたか?

5:非常に満足
4:満足
3:普通
2:不満
1:非常に不満

〔質問2〕来年も当事務所に確定申告を頼みたいですか?

5:ぜひ頼みたい
4:頼んでもいい
3:分からない
2:どちらかといえば頼みたくない
1:絶対頼みたくない

〔質問3〕もし、あなたの友人が税務等で困っていたら、当事務所を紹介しますか?

5:必ず紹介する
4:もしいたら紹介してもいい
3:分からない
2:どちらかといえば紹介したくない
1:絶対紹介したくない

 アンケートの結果、一つでも「5」がついていない項目があれば要注意。他の会計事務所からアプローチがあれば、心変わりする可能性が大きいからだ。こうした顧客を中心にフォローをする必要があるだろう。

 このアンケートの中で「質問3」は特に重要。なぜなら、所得500万円の顧客には所得500万円前後の友人が多く、所得1000万円の顧客には同じく所得1000万円前後の友人が集まっているからだ。高額所得の顧客から友人の紹介を得られるよう手厚いフォローとアプローチを行うことが得策である。

 「うちの事務所は特に何もしていないのですが、できるだけ笑顔で丁寧に対応するようにしています。確定申告の時期は個人の方に税理士と税金をアピールできる年に一度のチャンスですから」と、ある税理士が言うように、確定申告をビジネスチャンスに高める方法は、大なり小なり無限にある。アクションを起こしてみないことには、次のビジネスにつながらない。繁忙期に潜むビジネスチャンスを活用するのも、眠らせるのも、所長税理士の決断にかかっている。