税理士業界ニュース
(2012年12月)

人財獲得競争にあなたの事務所は勝ち残れるか?

 人材には3つある。その優秀な能力で事務所を成長させる「人財」。邪魔こそしないもののただそこにいるだけの「人在」。そして、周りに悪影響を与え利益を食いつぶす「人罪」だ。

 優秀な人財を採用するために、最低限必要なふたつの要素がある。それが「給与・報酬システム」と「教育制度」だ。もはや、このふたつなしでは事務所を成長させられない時代がすぐそこまでやってきたのだ。


成長できる事務所には成長できる給与システムがある?

 価格競争が激しさを増し、月額顧問料4,000円代を売りにする事務所までもが登場した2012年。この熾烈を極めた価格競争は近々終りを迎え、その後、優秀な人財を巡っての人材獲得競争の時代がやってくる。

 この人材獲得競争に勝ち残った事務所だけが成長できる、そんな時代が訪れるのだ。

 「給料規程と教育制度のない事務所には生徒を送り出せません」そう答えたのは、某資格専門学校のスタッフだ。

 給与・報酬規程と教育制度のない、徒弟制度を今なお残しているような旧世代型の事務所は退職率が格段に高い。職員の成長もなく、自身の仕事への満足感も得られないというのがその理由だった。

 違った側面から人材獲得について見てみよう。

 今年、税理士業界ニュース編集部では税理士向けに「会計業界に対する意識調査」として、人材にまつわるアンケート調査を行った。その結果、人材にまつわる課題として、50人以上の大規模事務所では「評価・報酬」が、5人未満から50人未満の事務所では「採用・教育」が挙げられていることが分かった。

人材にまつわる課題

 裏を返せば、50人以上の職員を抱える大所帯に成長できるような事務所は、人材の大切さ、給与・報酬規定の大切さを熟知しているといえるだろう。事務所の特徴や目指している方向性に合った「評価・報酬制度」を持つ事務所が大きく成長できるのだ。


優秀な人材は優秀な事務所に分かれる人材獲得の明暗

 「人材採用は相変わらずの買い手市場です。ただし、優秀な志望者に関しては採用が集中する、超売り手市場となっています」(某資格専門学校スタッフ)。

 事務所の売上は誰が作るのか。それは「人財」が作り出す。その売上を、ただ存在するだけの「人在」と、周りに悪影響を与える「人罪」が食いつぶしていく。事務所の売上を伸ばすためには「人財」を増やしていくしかない。

 しかしその人財には、多くの事務所から引く手あまたの声が掛かる。顧客の奪い合いにとどまらず、ライバルたちとは優秀な職員の奪い合いもしなければならない時代なのだ。

 そんなとき、給与規程もない、職員の教育制度もない、福利厚生もなくすべては所長のご機嫌にかかっている、そのような事務所に「人財」は入社してくれるだろうか。

 売上を作れる人財を入社させられず、人罪ばかりになってしまった事務所の行く末はどのようなものか、誰にでも想像できるのではなかろうか。


事務所の方向性に合致した給与・報酬規程を職員と共有

 現在の税理士受験生たちのうち「将来独立したい」と答えたのはわずか17%という統計がある(税理士業界ニュース調べ)。

なぜ税理士を目指すのですか?

 多くの就職希望者たちは、ひとつの事務所にできるだけ長く勤めて経験を積み、社会の役に立ちたいと願っている。 働く事務所を選ぶにあたって、給与や報酬、評価についての考え方が事務所と職員とで合致しているか否かは大きなポイントだ。

 自分が将来、どのようなキャリアパスを描くのか、安心して働くための一番基本的な部分をあやふやにしてはいけない。所長先生の目指す事務所の方向性にあった給与・報酬規程を定め、職員と共有することで、職員は安心して働くことができるのだ。


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