税理士業界ニュース
(2012年7月)

公益法人マーケットはまだ狙い目か?

 すべての公益法人は平成25年11月末までに新制度にのっとった新公益法人に移行の手続きをとらなければならない。

 タイムリミットまであと1年半を切った。全体で2万5000件近くあった公益法人のうち、今年3月末現在で審査が完了したのが約7800法人ということから、今後は駆け込み申請が予想される。


行政書士登録の有無が参入カギ

 これから公益法人マーケットに参入する余地はあるのか。公益法人コンサルタントとして、公益法人制度改革への移行アドバイスから移行手続き、外部監査まで扱う中島祥貴税理士・行政書士は次のように語る。

 「主立った法人は既に移行手続きが完了していますが、駆け込み申請のニーズはあります。事務所の売上を少しでも伸ばしたければ、狙うのもいいと思います」

 これから税理士が公益法人マーケットに参入するにあたってのカギは「行政書士登録の有無」だという。公益法人の移行申請にあたって代理人として申請書類を作成するには、行政書士の資格が必要とされるからだ。

 なので、行政書士登録をしている税理士のほうが公益法人マーケット参入に有利だといえる。

 参入にあたって気になるのは料金設定。いろいろな戦略が考えられるが、中島氏は「あえて高額に設定するのもひとつの手」という。

 公益法人の認定には会計の整備が求められており、税理士が他士業と比べて優位に立てるからだ。

 行政書士や司法書士は「移行手続き」をゴールとしており、安値攻勢をかけている。一方、税理士は「移行後の顧問契約」を狙えるので、付加価値が高いサービスを実践可能。高額報酬が期待できるのだ。

 これから始まるであろう、公益法人の駆け込み申請。商機にするかどうかは、所長の判断にかかっている。