税理士業界ニュース
(2012年3月)

『白書』が掘り起こした変化を促す衝撃事実
3年前と「変わらない」が鳴らす警鐘


 これまで会計事務所経営に活用するための統計を示した白書類はなかったといってもよい。このたびの『2012会計事務所の経営白書(トレンド)』の刊行が、多くの会計事務所に変化への気付きを与えている。

 同書にあるデータの一部を紹介する。グラフ1は「職員一人当たりの売上」を3年前と比較したもので、グラフ2は「職員一人当たりの担当件数」を同じように3年前と比較したものだ。

          グラフ1
グラフ1

          グラフ2
グラフ2


 グラフを見ると、職員一人当たりの売上と担当件数のそれぞれが「変わらない」という回答が大半だった。しかし、これは単なる平凡なデータとして看過できる事象ではない。

 現在、顧問料が下落傾向にあるのは、統計を見なくてもわかる。一方で一人当たりの売上や担当件数が変わらないということは、利益率が落ちていることが明らか。言い換えると「60%超の会計事務所が利益率を落としている」という警鐘を鳴らしているとも解釈できる。

 一人当たりの売上や担当件数が変わらないなか、職員の給与は簡単には落とせないのが実情。これからの会計事務所は一人当たりの売上をいかに上げるかを考えなければならない。同書の統計から事務所経営の方針を明確に読み取れるのだ。