(2017年1月)
相続・事業承継の専門特化を究め「九州一の総合シンクタンク」を目指す!!2014年に福岡、翌2015年には鹿児島の会計事務所と経営統合し、短期間で3拠点90人超の規模まで拡大した税理士法人さくら優和パートナーズ。「会計事務所にありがちな『救済型』の統合ではありません。『九州一の総合シンクタンク』になるための積極的な経営統合です」と語る代表社員税理士の岡野訓氏に、統合の狙いと今後の展望について話を聞いた。 九州新幹線全線開通が規模拡大を後押し
─短期間で続けて経営統合を行って規模を拡大させていますが、そのきっかけは?
岡野訓氏(以下岡野氏) 決め手となったのは、2011年の九州新幹線全線開通でした。博多から熊本を通って鹿児島中央まで、早ければ1時間17分で着くようになり、福岡や鹿児島からの相続・事業承継案件の依頼が増えました。専門特化をさらに究めたいと思い、拡大しようと決心しました。 ─なるほど。専門特化のための経営統合なのですね。
岡野氏 そうです。会計事務所にありがちな、後継者難を救済するための統合ではありません。 ─まず、2014年に福岡の会計事務所と統合されたのですね。
岡野氏 はい。藤田ひろみ先生とは以前から懇意にさせてもらっていた間柄で「岡野さん、福岡に進出するなら、うちの事務所に間借りしてもいいよ」と言われていました。そこで統合を提案したら、スムーズにOKをいただけました。 ─翌年には鹿児島の会計事務所と統合しましたが、その経緯は?
岡野氏 2015年10月に肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合しました。両行ともに地元トップシェアで、強い銀行同士の合併でした。「当社も強い者同士の統合をしよう!」と触発されましたね。 ─経営統合で3拠点体制となったことで、事務所経営上、気を付けている点はありますか?
岡野氏 経営統合といっても、実質的には経営理念の統合です。グループウェアを活用して、情報のプラットフォームも統合させていますが、オフィスと人員はそのまま別々で、内部の諸規程もそれぞれ従来通りです。そのほうが相乗効果を図れると思います。 人数規模を拡大させないと専門特化ができない
─現在は90名超の税理士法人へと拡大されました。拡大の目的は先ほどもおっしゃられた相続・事業承継の専門特化なのですね。
岡野氏 そうです。独立以来、地域のお客様の困りごとをワンストップで解決したいという思いを描き続けてきました。なかでも相続や事業承継に強い会計事務所は、熊本にはほとんどないので、特化しようと思いました。ただ、それには事務所を拡大させて人数を増やす必要があると感じました。 ─なぜ人数を増やす必要を感じたのですか?
岡野氏 私は1人で独立開業して、現在の90人以上の規模までの流れを全部見ています。10人前後のときは、事務所内が家族的で自分の考えが瞬時に浸透して楽しいんですよね。でも、この規模ではお客様の相続・事業承継問題は解決できません。通常の法人監査業務と掛け持ちになり、スキルが上がらず、対応スピードが遅くなってしまうからです。監査担当者が持ってきた案件を、相続・事業承継の専門部署にパスする体制を築くことで、スキルとスピードと生産性が上がります。50人規模まで大きくなれば、実現できると思い、拡大しようと決断しました。 ─拡大のプロセスで苦労したことはありましたか?
岡野氏 30人前後まで増えた段階で、壁にぶつかりました。事務所全体にまで目が行き届かなくなったのです。私の理念や思いを全員に浸透させるのは、1人ではできません。理念や考えを共有でき、下に伝えられる幹部を育てる必要があると考えました。「これは」と感じる人材5〜6人を課長に抜擢し、私の理念や思い、考え方について徹底的に教育しました。経営理念を実現するため、具体的にどのような考え方でどのような行動を取るべきかを、実践を交えて指導しましたね。おかげで、私が幹部社員に伝えるだけで、幹部経由で部下へとスムーズに考えが伝達されるようになりました。 規模が拡大したから復興支援に目を向けられる
─今後の展望をお聞かせください。
岡野氏 現在は100人規模に近付き、監査1〜3課を軸に、資産税課、経営支援課、不動産管理課という具合に専門性を高めた組織を固め、ようやくお客様の多様な要望に応えられるようになったと実感しています。今後も「九州一の総合シンクタンク」を目指して、専門特化を究めていきたいです。 |