会計事務所経営に役立つ情報
(2016年12月)

補助金採択のポイントは「革新性」の有無にある

 事業計画のポイントは、審査基準を守ることです。審査基準は公募要領に全部載っています。公募が出たら内容をしっかり確認して、審査基準を全部読み取ってください。

 審査基準とは、技術化面、事業化面、政策面の3要素です。これらを満たす申請書をいかにして作成するかが大事です。審査員は技術化面が2人、事業化面が2人、政策面が1人の計5人で構成されます。

ポイントはビフォーアフターの明確化

 では、審査の主な着眼点について見ていきましょう。まず、革新性です。社内・社外的な真新しさ、変化があるかということです。補助金の審査は全般的に、革新性が最も大事です。補助金を申請する事業が、既存事業と異なることが前提になります。既存事業の延長では、なかなか採択されません。

 革新性とは何かというと、「生産方法を手作業から機械化する」や「まったく新規の製品を作る」といったことです。ビフォーアフターを明確に比較できることが、革新性を満たす最低条件です。「ビフォー(革新以前)はこういう状態だったのが、アフター(革新以降)はこんな風になりますよ」と、ビフォーアフターを明確にすることが最大のポイントとなります。ビフォーアフターが明確でないと、どんなに細密な申請書を書いても、採択されにくいです。

 理想をいうと、社外的な真新しさとして、「競合他社がやっていない」「業界初」といったキーワードまで打ち出せればベターです。

 一方、事業が革新的であればあるほど、実現の可能性に疑問が出てきます。「資金的、能力的、体制的に実現可能なのか」「スケジュールに問題がないか」など、実現の可能性を裏付ける必要があるでしょう。

 なおかつ社会性もチェックされます。「政策や社会への寄与はあるか」「雇用創出、賃上げをもたらすか」といった点も事業計画に加味しないといけません。

会社の強みを考え抜いて事業計画のテーマをつくる

 では、事業計画にどうやって革新性を持たせるのか。大事なことは、事業計画のテーマです。

 事業計画をつくるときに30字前後のテーマをつくります。「これは他社ではやっていない」「これは革新的だ」と審査員に思われるテーマを、いかにして考えるかが、最大のポイントになります。

 では、どうやって審査員から魅力的と思われるテーマをつくっていくのか。次の3つのSTEPを踏んでいきます。

STEP1:会社の強みを考える
STEP2:成長市場を考える
STEP3:テーマを考える

 多くの人が、STEP3「テーマを考える」から入ってしまいます。しかし、いきなりテーマから考えると、事業計画の中身がぶれてしまいます。まずはSTEP1からスタートしましょう。「会社の強みは何か?」「利益率の高いサービスは?」「社名の由来は?」などをじっくり考えていくのです。

 STEP1で会社の強みをしっかり考えると、STEP2は難しくありません。市場調査を行って「この業界はこの市場が伸びている」「今後はこの分野が伸びていきそうだ」ということがわかれば、成長市場にひもづけてテーマを考えていけばいいのです。

 STEP1とSTEP2を踏まえ、会社の強みを活かした独創的な事業で、かつ成長市場に向けたビジネスの事業計画ですと、採択されやすくなるでしょう。


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