会計事務所経営に役立つ情報
(2016年11月)

融資・補助金申請に不可欠「経営力向上計画」とは?

 去る10月6日(木)、「新制度『中小企業等経営強化法』を活用し、顧客獲得する方法!」セミナーが開催されました。認定支援業務だけで年商6,000万円超を達成した若杉拓弥公認会計士が講師を務め、新制度を使ったビジネスモデルの構築方法を公開しました。今回は講義の一部を紹介します。

事業計画の認定を受けることで得られるメリット

 平成28年7月より中小企業等経営強化法に基づく新制度として「経営力向上計画」という事業計画の認定制度が始まりました。経営力向上のための事業計画を国に提出し、国から認定を受けると、次の3つのメリットがあります。
1.新規取得の設備について固定資産税の3年間半減
2.融資における保証枠の増加
3.補助金申請での加点
 今後、融資や補助金申請を行う場合には、計画認定が大きなポイントになります。計画認定には1ヵ月程度かかるため、融資や補助金申請を行う予定の方は、早めの認定をお勧めします。

「生産性」にフォーカスした計画を策定

 そもそも「経営力向上計画」とはどのような制度なのか。概要について、Q&A形式でまとめましたので、参考にしてください。

Q1:経営力向上計画とは何ですか?
 A:中小企業・小規模事業者が、生産性向上のための計画を作成することです。今後3〜5年程度の期間で「生産性向上を向上させるための取り組み」と、そのために設備投資が必要であれば、当設備の内容を国に申請する制度です。
Q2:なぜ、このような制度ができたのですか?
 A:まず、国としてはGDP600兆円達成に向けて、中小企業の生産性向上を大きな課題と設定しています。そのような背景で個々の企業の生産性向上を具体的に担保すべくつくられた制度が、経営力向上計画です。
 7月の日刊工業新聞で、経営力向上計画の制度趣旨についてわかりやすく解説してありました。簡単に言うと、経営力向上計画はダイエットと同じです。体重計に乗ると、実際の体重と理想の体重との差がわかります。差がわかるから改善しやすいですよね。企業経営においても、しっかりと計画をつくって、予算や目標を決めておけばいいのですが、そんな会社は少ないです。だから、しっかりと経営計画を立てて予算や目標を設定している会社を1社でも多くつくってほしいと考え、そのために経営力向上計画をつくりましょうというのが、背景にあります。
Q3:経営力向上計画のメリットは何ですか?
 A:具体的なメリットとしては、固定資産税の減免等がありますが、正直なところ、あまりぱっとしません。ただし、融資枠の拡大や補助金申請の加点などは大きなメリットです。融資枠の拡大については、経営力向上計画に基づく新規投資に関しては、通常の融資枠とは別枠で保証協会の保証が受けられます。融資を計画している場合には、ぜひとも認定を受けるべきです。また、補助金申請については、経営力向上計画の取得をしていると加点されます。なお、国はこの経営力向上計画をより多くの企業に認定させたい、と考えているので、ある程度、重要な加点項目となると予想されます。補助金申請を行う場合には、経営力向上計画の認証取得も併せて申請することをお勧めしています。
Q4:経営革新計画との違いは?
 A:経営革新計画よりも申請のハードル(難易度)を下げたものが経営力向上計画という位置づけです。今後は、国に対する申請は経営力向上計画、都道府県に対する申請は経営革新計画というすみ分けが予定されています。
Q5:経営力向上計画の申請のためには、何が必要ですか?
 A:固定資産税の減免等を受けない場合には特に必要書類はありません。ただし、固定資産税の減免を受けたい場合には、新規投資予定設備の見積書、最新モデルである証明書が必要です。
Q6:まだ投資予定の機械・ソフトウェアが決まっていませんが、まずは経営力向上計画だけの認定を受けることは可能ですか?
 A:可能です。まずは大まかな計画だけで申請し、具体的な投資内容が決まったら「変更届」という形で、変更することが可能です。
Q7:どのような方法で経営力向上(生産性向上)を行えばいいのですか?
 A:業種ごとに、国が経営力向上のための取り組みや方向性を決めた「指針」があります。そこで、「指針」に沿って経営力向上(生産性向上)のための取り組みを行います。「経営力向上計画」単体で業務を請け負っても、うまみがありません。できれば、補助金申請、融資といったプラスアルファの提案のきっかけとして活用することが望ましいでしょう。

認定支援機関ビジネス実践会 補助金獲得キット