(2016年8月)
歯科医院特化に必要な専門性高い実務ノウハウ公開セミナー
歯科実務研究会会員向けの実践講座がスタートしました。第1講は「『経営計画』作成の実務と運用のポイント」について、同会理事長の山口明男氏(株式会社みどり合同経営代表取締役)が講師を務めました。第2講は「『開業支援』と『税務会計支援』実務のポイント」をテーマに、同会理事の篠健一氏(税理士法人東京会計コンサルティング 社員税理士)が解説しました。
今回は第2講の講義の一部にあたる「歯科医院開業までの道のり」について紹介します。
歯科医院の開業までにどんなステップが必要で、会計事務所がどのようにかかわるかについて解説します。
(1)イメージ作り 最初はこのイメージ作りが必要です。「どのような診療所をつくっていきたいのか」「どういう希望をもって独立開業しようとしているのか」など、構想や理念について歯科医師の先生と話をします。先生の人柄や考えを知るいい機会です。
(2)診療圏調査 開業場所の選定です。開業しようとしている診療所の近くには、競合がどれくらいあるのか、どれくらいの患者さんが見込めるのかを調査する必要があります。
(3)物件選び 診療圏調査で開業地が決まると、物件選びです。首都圏の場合、ビルの1室で開業するケースが多いです。その場合、ビルの入口がどうなのか、築年数はどれくらいかなどを一緒に検討し、相談に乗ってあげましょう。歯科医院は削りかすや石こうなどを水で流すので、下水の配管についてもチェックすることが重要です。
(4)医療機器選び どのような医療機器を配置するか決めていきます。ユニットを何台、どのようなレイアウトで置くのかを検討し、医薬品や医療材料についても決め、業者の選定を進めます。
(5)資金の流れの検討 銀行借入かリースか、自己資金でどれだけ賄えるのかを検討し、きめ細かな資金計画表を作成します。当然、資金計画表は開業において重要です。会計事務所が一番活躍できるステップともいえるでしょう。
(6)スタッフの募集と管理 採用広告制作から始まり、面接や採用後のトレーニングを行います。雇用契約書や就業規則など、多くの必要書類を作成します。
(7)会計方法の確立 スタッフを採用したら、窓口担当者と会計事務所とで、現金の流れをどうするか、会計方法を確立させていきます。
(8)開業にかかる書類の作成、提出 保健所、厚生局、税務署、税事務所など、開業に関する書類を多岐にわたって作成、提出します。
(9)内覧会の実施 ここ10年で、開業前に内覧会を開くのがトレンドになっています。診療所を地域の方に知ってもらい、見ていただきます。その場で予約を取って患者さんを確保できるので、実施することをお勧めします。ただし、費用が100万円ほどかかるので、資金計画表に織り込むようにしましょう。
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