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(2016年6月)

新手法「民事信託」を活用して相続ビジネスを拡大しよう

「民事信託」に関する素朴なQ&A

Q1:
 民事信託は節税にならないのでは?
A:
 そんなことはありません。民事信託行為は不動産流通税の圧縮効果があります。ここが重要です。登録免許税も1/10になるので、不動産を動かす際には非常に便利です。
 したがって、不動産事業を法人成りすることで、法人の譲渡代金債務の資本振替や、現物出資等による株式の相続税評価のコントロールにも有効です。
Q2:
 民事信託はどこで収益を得ればいいのでしょうか?
A:
 報酬を民事信託単体で考えるのではなく、その周辺業務のコンサルフィーを含めた全体で考えることが重要です。たとえば不動産流通税の節税などの報酬を合計すると約500万円に達することもあります。
 また、民事信託を契約すると、信託期間中は毎年、民事信託税務会計を実施する必要があります。この報酬がトータルで年間90万円近くに達します。
 さらに不動産の建て替えが生じる場合、ハウスメーカーからの紹介料が期待できます。料率が1〜3%でも、報酬が数千万円に上るケースも少なくありません。
−認知症対策に効果を発揮
Q3:
 民事信託はどんな相続問題に役に立つのですか?
A:
 民事信託が効果を発揮するのは特に認知症対策です。たとえば、委託者が認知症になってしまうと、何もできなくなります。これを受託者が代わってオペレーション、コントロールすることで、相続税の節税効果が生じるのです。  ほかには「共有持分対策」「遺留分対策」「事業組成」「法人化対策」「自社株対策」などにも、民事信託は効果を発揮します。
Q4:
 民事信託で画期的な機能はあるのですか?
A:
 民事信託で最も画期的な機能として挙げられるのが、何代も先の財産取得者を指定できる点です。遺言ではできなかったことが可能になります。財産の分散を回避して、遺留分対策にも使えるということです。財産の未分割による相続税特例非適用の回避と、遺留分減殺請求による修正申告の回避が可能になります。
Q5:
 相続ビジネスの提携先を探しているのですが、民事信託を使って、どのようにしてアプローチすればいいのですか?
A:
 たとえばハウスメーカーは、お客様が認知症になってしまい、契約が中断した苦い経験がたくさんあります。そんな問題を「民事信託で解決できます」と、業務の親和性を訴えてセミナーを提案すれば、話が円滑に進むでしょう。

新手法「民事信託」を活用して相続ビジネスを拡大しよう