会計事務所経営に役立つ情報
(2016年4月)

なぜ、美容・飲食特化で高収益ビジネスモデルを実現できるのか?

 競合激化、クラウド会計の普及等を受け、会計事務所にとって収益力の強化が急務となっている。それには「業種特化+製販分離」で、普通の人材で業務を回し、所長が実務にタッチしなくても収益を上げられるビジネスモデルを築く必要がある。美容・飲食業に特化し、製販分離のビジネスモデルを確立し、「職員1人当たり売上2000万円」「業界平均165%の生産性」を実現している阿比留一裕公認会計士・税理士の事例を分析する。

 美容・飲食業への特化で高収益ビジネスモデルを確立できる理由について、ポイントを用いて分析する。

ポイント1:日本全国にマーケットが存在する

 日本全国どの地域でも、大なり小なり繁華街が存在し、美容室・飲食店が密集するエリアがある。だから、どの地域でもビジネスを展開できる。阿比留氏の事務所がある福岡市の例を挙げると、事務所から自転車で10分圏内には276件の美容室があるという。市内全体で年間200件前後の新規開業がある。マーケットとしては十分な規模だ。

ポイント2:他の税理士がやりたがらない

 一般的に、美容・飲食業の顧客を敬遠する税理士は少なくない。その証拠に、阿比留氏がインターネットで「福岡 美容室 会計事務所」で検索すると、上位5件中4件は阿比留氏自身のページで、純粋な会計事務所は阿比留会計を含めて2件しかなかったという。

ポイント3:実務が簡単

 阿比留氏が厚生労働省「美容業の実態と経営改善の方策」(平成18年10月)を調べたところ、以下の事実に気づいた。

●美容室の67.7%は個人事業
●美容室の57.9%は従業員4人以下の小規模
●美容室の86.2%は単一事業

 「個人事業」「小規模」「単一事業」ということから、税務処理が簡単なことが判明した(飲食業もほぼ同様)。

ポイント4:美容・飲食業オーナーは税務・会計が苦手

 一般的に美容・飲食業オーナーは税務・会計が苦手で、お金に関する事務を面倒と感じる人も少なくない。その分、記帳代行に対するニーズが高く、事務作業をまるごと引き受けると、高い顧客満足を得られる。

ポイント5:悩み事が定型化

 阿比留氏は日本政策金融公庫「美容業の開業事情」(平成21年6月)の「開業時に苦労されたのはどのようなことですか?」というアンケート調査をチェックしたところ、トップの回答が「開業資金の確保」の37.9%だった。

 さらに、美容室は開業までの流れも「物件探し」→「内装デザイン」→「美容機器」→「システム、HP等」と定型化しており、平均600万円前後の融資を受けると言われている。そこで開業融資のサポートというフロントエンド商品を設けることができるのだ。

●金融機関から融資を受ける
●税務・会計に関する事務作業をまるごと引き受ける
●顧客に手間をかけさせない
●難しいことは一切やらない

 阿比留氏はサービス内容の方向性を以上のように決め、美容・飲食業に特化するビジネスモデルを確立した。


美容・飲食業に特化した「阿比留式」ビジネスノウハウ大公開