会計事務所経営に役立つ情報
(2016年3月)

「2016会計事務所の経営白書」統計分析
知っておくべき「会計業界を取り巻く状況」


税理士試験受験者数は若手を中心に激減

グラフ1「税理士試験受験者数の推移」


グラフ2「年代別税理士試験受験者数比較」

 グラフ1は、税理士試験の受験者数の推移を表している。平成22年には5万人を超えていたのが、平成27年にはついに4万人を割り込み3万8,175人と、1万3,000人以上も落ち込んだ。会計業界の門をたたく人材が急激に減り、業界としては見過ごせない危機だ。

 グラフ2では、「年代別税理士試験受験者数比較」を示している。これを見ると、35歳以下の税理士試験受験者数が大きく落ち込んでいるのが明らか。若年層の税理士離れが深刻化している。

 なぜ、ここまで会計業界に人材が集まらないのか。ひとつは、景気の好転化が影響し、会計業界内から一般企業への転職が激増していることが挙げられる。今や、会計業界の人材争奪戦の相手は、同じ会計業界だけでなく、一般企業も含まれるのだ。

 では、なぜ、会計業界に見切りをつけて一般企業に人材が流出するのだろうか。

 最も大きな理由は、給与等の待遇が低いことにある。実際の会計事務所職員の平均年収は、よくても300万〜400万円前後と推測される。この給与水準では、結婚して家庭を持つのは容易ではない。会計事務所に優秀な人材が集まらないのは当然ともいえるだろう。これは業界全体として危機的な状況である。

 従業員10人未満の会計事務所の場合、就業規則がなく、社会保険も未加入というケースは珍しくない。会計事務所同士で人材獲得を競い合っている分には、大きな問題がなかったが、人事制度が整備されている一般企業を相手に人材争奪戦を行うとなると、圧倒的に不利である。

 今後は事務所規模に関係なく、給与規定、就業規則、評価制度、人材育成システム等を整備することが求められる。


2016会計事務所の経営白書