会計事務所経営に役立つ情報
(2016年3月)

月次試算表をベースにした経営指導で顧問料15万円超を実現!

 「顧問料の低価格化から脱却したい」。そうお考えの会計事務所は多いでしょう。しかし、具体的な方法がわかる事務所は少ないのでは。実は、月次試算表を活用すれば、顧問報酬を上げることが可能です。現在よりも最低5万円の増額が見込め、顧問料15万円超も実現できます。40社以上から月5万〜30万円の顧問契約をしている若杉拓弥公認会計士が試算表を活用した経営指導ノウハウを公開します。

 私は公認会計士で、税理士登録をしていません。経営指導を専門業務とし、事業計画書の作成とそのモニタリングを中心として業務を展開しております。事業計画書の作成で、通常月5万円や10万円といった報酬をいただいています。

 今回は、月次試算表を活用した経営指導の心構えについてお話をしたいと思います。

 前段階として、必ず知っていただきたいことがあります。月次試算表の説明は、あくまでもプロセスにしか過ぎません。プロセスというのは、スタートとゴールが明確になっていて初めて価値を見出します。よって、月次試算表の説明をする前に、税理士と経営者との間で、スタートとゴールが何かを共有できていないと、月次試算表の説明は、何の意味もなさないのです。月次試算表の説明を行う前に、まずはこのスタートとゴールを明確にして、経営者と共有するという作業が必要になります。この作業をしないで、いきなり説明を始めてはいけません。

 では、具体的なゴールとは何か。たとえば、経営理念やビジョンだったり、3年後や5年後の目標だったりします。あくまで目標に達するまでのプロセスが月次試算表の説明になります。

 ゴールを達成するために、私がおすすめするのは、試算表説明の前段階で、必ず事業計画書を作成することです。作成してから毎月のモニタリングで月次試算表による監査を行っていくのです。

 そのときに事業計画書の作成とモニタリングということで、月に15万円ほどの報酬をいただいて、社長さんに本気になっていただき、月次試算表のチェックをするという流れがおすすめです。

 月次試算表の説明の仕方で、まず心掛けていただきたいのは、一つひとつ深掘りしていく質問の仕方を念頭に置くことです。いきなり損益分岐点比率や流動比率など、財務分析の小手先テクニックだけを話しても、社長さんは何の価値も感じてくれません。

 たとえば、売上が50万円増えたのならば、「なんで増えたのか」「具体的にはどうなったのか」「どうなるといいのか」など、理由を深掘りするようにしてください。

 あとは、できるだけコンパクトな資料で、試算表説明の場を盛り上げることが大事です。それには「固変分解されている損益計算書」と「直接法に基づくキャッシュフロー計算書」の2枚だけで十分です。これさえあれば、社長さんは喜んで話を聞いてくれます。

 具体的に事業計画書をつくりながら、試算表の説明をしていくという流れをつくると、社長さんに喜ばれ、月5万〜30万円といった高額報酬がいただけるのです。