(2015年12月)
M&Aのベストタイミングはいつか? 経営の充実期こそ検討しよう! どんな売買にも「タイミング」がある。株も外貨も、いつでも売買できるが、株価が高いときに売ったほうが利益が出て、円高のときに商品を輸入したほうが安く買うことができる。会計事務所のM&Aも同様で、ベストなタイミングがあるのだ。 タイミングは外的要因と内的要因で考える 会計事務所M&Aのベストタイミングとはいつを指すのか。それは、外的要因と内的要因の2つの側面から考えられる。 外的要因としては、業界の動向が挙げられる。約10年前は会計事務所M&Aは一般的ではなく、「売りたい」という事務所はほとんどなかった。一方、「買いたい」という潜在的需要は多く、需要と供給のバランスが悪く、圧倒的な売り手市場だった。なので、どんな事務所でも「売りたい」と手を挙げれば、引き受け先に困ることがなかったのが実情である。 現在、会計事務所M&Aの件数は徐々に増え始めている。所長税理士の高齢化や競合激化、景気低迷による売上減などを理由に、「売りたい」事務所が増加傾向にある。一方、積極的にM&Aを行ってきた一部の大型会計事務所は、すでに主要エリアに拠点を進出していて、現在では「条件さえ良ければ引き受けてもいい」と、選別の段階にシフト。つまり、譲渡側も一定の条件をクリアしていないと、いざ売りたいときに、引き受け先がないという事態に陥ってしまう。 現在は、売り手市場ではあるものの、譲渡側も事務所の価値を求められているのだ。この事務所の価値こそが内的要因になる。 「まだまだやれる」と引き延ばすと価値が下落する M&Aのタイミングとしては、できるだけピークに近い状態が理想で、業績の安定期がベストと言える。譲受側としては一定以上の売上が見込め、さらなる成長や発展が期待でき、M&Aの条件としては好都合。譲渡側としても相手に困らず、ベストな条件を引き出せるだろう。 上図は開業から廃業までの事務所の価値を示している。ベストタイミングは安定期が終わり、衰退期に入ったばかりの段階と言えるだろう。自分の事務所がどの位置にいるのか考えてみよう。 もし、ちょうどピークを過ぎて、売上が減りつつある場合、再度拡大路線にかじを取るのか、現状維持に注力するのか、しっかりと戦略を立てる必要がある。 もし、経営を盛り返せるだけのアイデアと意欲、行動力があれば問題ない。しかし、所長の気力や体力が伴わない場合は、ピークを過ぎたばかりの段階でM&Aを検討しよう。「まだまだやれる」と、いたずらに決断を引き延ばすと、事務所の業績が落ち、価値が下落する。そうなると、好条件で事務所を引き受けてもらえなくなるのだ。 自分の事務所の価値を客観的に評価することは、難しいものだ。しかし、しっかりとした評価をしておかないと、タイミングを逃し、手遅れになってしまう。 会計事務所M&A支援協会は、会計事務所業界に長年精通し、客観的な立場から現在の事務所を評価し、事業承継に最適と思われるスキームを提案。譲渡先、譲受先の双方が納得できるM&Aの実現をサポートしている。 |