会計事務所経営に役立つ情報
(2015年11月)

世界のプロコンサルタントに共通したマーケティング手法は3つ

 これからの時代、会計事務所が生き残るにあたってマーケティング活動が不可欠ということは、徐々に浸透しつつあるだろう。では、具体的にどうすればいいのか。アックスコンサルティング代表取締役・広瀬元義が現在の会計事務所マーケティングの最先端情報をお伝えする。


今まさに会計事務所経営にはマーケティング活動が不可欠

 これから会計事務所経営を強くするには原理原則が必要である。その原理原則とは、マーケティング活動にほかならない。「マーケティングがなぜ必要なのか?」と考える人は少なくないが、事務所の成長を少しでも考えるのであれば、そうした原理原則、つまりマーケティングが必要不可欠である。

 マーケティングという言葉を聞いて、何をイメージするだろうか。「市場調査」「広告」「テレビ・新聞での宣伝」など、いろいろ想像できるだろう。

 マーケティングをわかりやすくいうと「会社(事務所)のドア口に顧客を呼び込むためのすべての行動」を指す。呼び込むとは、問合せをもらうことである。DM、FAX、電話、セミナー、Webなど、顧客を増やすためのあらゆる行動がマーケティング活動なのだ。これからの時代、マーケティングのない会計事務所は顧客を増やせず、生き残れない。

 「マーケティングなんてよくわからない。今の仕事を一生懸命やっていればいい。顧問先は十分に満足してくれているはずだ」。この記事を読んでいる先生方の中には、こんな風に思った方が少なくないかもしれない。しかし自分がマーケティング活動をしなくても、自分の顧問先に対してマーケティング活動に意欲的な会計事務所からは多くのアプローチがあるだろう。


「セミナー講師」「書籍出版」「情報発信」が「三種の神器」

 米国の著名CPAをはじめとした、世界のプロコンサルタントは皆、ある共通する3つのマーケティング手法を行っている。

1.セミナー講師
2.書籍の出版
3.情報発信

 会計事務所もこれら3つの行動が、マーケティング活動において有効で、まさに「三種の神器」とも言うべき手法である。

 セミナーなどの講演活動は、プロコンサルタントが行うマーケティング活動としては王道である。セミナー活動で顧客を見つけ、ファンを増やしていくのだ。

 書籍出版もプロコンサルタントのマーケティング手法としては、極めてオーソドックスである。しかし、ただ出版するだけでは効果がない。会計事務所の場合は、既存の顧問先だけに書籍を配っても意味がないという性質がある。優秀なプロコンサルタントが実践していることは「未来のお客様に書籍を配る」ということである。

 さらにもうひとつ、プロコンサルタントが行っていることは、メールマガジンやニュースレター等で継続的に経営に役立つ情報を発信することである。コンスタントなコミュニケーションが新たな顧客を生み出すのである。

 継続的な講演活動と、書籍の出版・配布で見込み客を開拓し、定期的な情報発信でコミュニケーションを取り続けていれば、必ず新規顧客が増えていくだろう。


紹介を得るにもWebマーケティングが絡む

 会計事務所が顧客と成約するまでは3つのプロセスがある。

1.アプローチ
2.引き合い
3.成約

 これらをインターネットを使って行うのがWebマーケティングである。ただ事務所のホームページを作るだけでなく、さまざまな施策を打ち、多くの見込み客を集め、最終的には成約へと結び付けてはじめて、Webマーケティングが成功したと言えるのである。

 新規顧客を獲得しているほとんどの税理士は、必ずWebマーケティングを活用している。一方でWebに対して半信半疑で「やっぱり紹介が一番信用できる」と、従来の形にこだわる税理士は、少なくなっているものの、まだ依然として多い。

 Webを活用していない会計事務所は、ビジネスチャンスを逃しているだけでなく、Webを駆使している競合事務所にお客様をどんどん取られているのが現状だ。

 確かに紹介というのは今後もずっと強力な新規獲得ルートであり続けるが、実は紹介にもWebが絡んでいる。しっかりとWebマーケティングを行っていると、紹介がもらいやすくなり、顧問契約に至る可能性が高いのだ。

 会計事務所が行うべき情報発信として効果的なのがメールマガジン。今すぐ成約する予定のない見込み客にメールマガジンを定期的に送って最終的な顧客になるまで育てていく。さらに既存顧客をつなぎ止め、売上減少を防ぐ効果も期待できる。


メールインパクトグランデ