会計事務所経営に役立つ情報
(2015年9月)

職員がお客様をさくさく増やす会計事務所のモデリング Part.5

既存顧問先への提案営業を全員で実施

 会計事務所が新規拡大する条件は何だと思いますか?

 それは、所長一人で営業をしないことです。所長単独での営業では限界があり、新規拡大が行き詰まります。コンスタントに新規顧客を獲得するためには、職員にも営業活動を担当してもらうことが必須なのです。

 今回は既存顧問先への提案営業を全員で実施している税理士法人斎藤会計事務所の事例を紹介します。


相続や経営計画のパッケージ商品を機会損失なく営業

─職員さんに営業を担当してもらったいきさつを教えてください。

斎藤氏:
新規のお客様との面談は、私が担当していたのですが、3年前くらいからなかなかスケジュールが合わなくなってきました。そこで、社員税理士にも初回面談をお願いすることにしました。

─その際、指導などはしているのですか?

斎藤氏:
はじめは、話のもっていき方などは指導しました。しかし、もともと営業の素質があったので、不安はなかったです。

当社では、初回面談時から担当になる予定の者も同席します。そこで私の商談を横で見ながら覚えてもらうようにしております。

─ほかにはどのような営業活動を行っていますか?

斎藤氏:
既存のお客様への営業活動は、担当スタッフ全員で行っており、むしろ、こちらに力を入れております。

当社では、相続や経営計画に関してパッケージ化された商品があり、それを既存のお客様に提案して営業します。

せっかくサービスの提供ができるチャンスなのにできないと、機会損失になってしまい、もったいないです。機会損失を防ぐことが最大の営業と考えております。

─既存顧問先に紹介と顧問料値上げも頼むん全員が営業をしているのと同じですね。

斎藤氏:
そうですね。既存のお客様に営業をするには、事務所の商品・サービスの中身や料金体系などを理解しなければいけません。そのための研修も行っております。

また、既存のお客様には紹介をお願いするように指導しております。自分のサービスが良ければ、自然と「紹介してください」と言えますからね。

それと、顧問料の値上げもお願いするようにしております。顧問料を1.5倍に増額した先が2件あれば、1件新規獲得したのと同じなので、しっかり評価するようにしております。


評価制度を整備してモチベーションを上げる

─どのようにしてスタッフさんのモチベーションを上げていますか?

斎藤氏:
評価制度をしっかりと整えております。「お客様に紹介をお願いしたか」「顧問料を増額したか」「セミナー講師ができるか」など項目を細分化して、一つひとつ評価できるようにしております。また、当社では担当先の売上に応じて労働分配率を設定し、給与に反映しています。

─職員さんに営業活動を任せるポイントは?

斎藤氏:
自社の商品・サービスと報酬体系を明確にすることですね。明確になってはじめて、自社の商品をスタッフが理解できるようになり、真に必要としているお客様にしっかりと提案・販売できるのです。

自ら販売しているサービスが良ければ、自然と「紹介してください」という一言が出てきて、紹介をもらえるようになるという好循環になるでしょう。


 斎藤先生の取り組みについての詳細は、DVD講座「会計事務所のモデリング」に詳しく収録しています。

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