(2015年6月)
他社の手がけていない手法にこそチャンスあり ―「第6回税理士実態調査」統計分析− 日本税理士会連合会が公表した「第6回税理士実態調査」から分かるのは、会計業界では営業・マーケティングがいまだに一般化していない事実だ。つまり、適切な営業・マーケティング活動を展開するだけで上位25%に入れる可能性がある。 税理士紹介を利用している事務所は4.2% 利用の際は業界を熟知した業者を選ぼう 会計事務所が営業・マーケティングを行うにあたって、もっともシンプルかつ手っ取り早いのが税理士紹介サービスの活用だ。 仲介業者の利用に関する調査結果を見てみると、「利用している」との回答はわずか4.2%。ほとんどの会計事務所で税理士紹介サービスを利用していないことが分かる。 税理士紹介サービスを会計事務所が利用するメリットは自力で営業をかけなくても顧客を紹介してもらえる点にある。顧客を増やしたい事務所にとっては利用しない手はないように見えるが、これだけ利用者が少ないのはなぜか。 2011年近辺から、他業種が続々と税理士紹介サービスに参入してきた。ノウハウがない企業が中途半端に乗り出してきた結果、高額の費用を支払ったにも関わらず紹介されない、質の悪い顧客しか紹介されない、さらに悪徳なケースでは紹介された顧客がサクラだったなど、業者に対する不信感が大きく影響しているように思える。 税理士紹介サービスを利用する際には、業界を知り尽くしている業者で、完全成功報酬型の業者と提携するのが良いだろう。 また、「税理士紹介サービスを利用するのは自身に営業力がないと認めてしまうことになるのでは」という懸念を抱いている先生方も多いのではないかと予想される。 これはむしろ逆で、事務所の営業手法を増やすのは事務所経営にとって必須の行為。裏を返せば、税理士紹介サービスを利用している4.2%の事務所は営業・マーケティングに積極的な、先進的な事務所と言い換えられる。 どんな方策も大多数が参入してからでは遅い。取り組むなら今だ。 83.1%が「法人規模1,000万円以下」 効率化のためにもクラウド会計を 会計事務所の顧客層でもっとも多い法人規模は1,000万円以下で83.1%を占める。実際に事務所経営を行っている先生方からしてみれば「何を今さら」といった結果だろう。 この割合は今後も変化することなく、「会計事務所は中小企業の味方」というスタンスは続いていくだろう。 顧問料が右肩下がりで下落していく中で、今後はより小規模事業者にフォーカスしたサービスの提案・開発が必要になってくると考えられる。 また、事務所の業務を効率化・スリム化して、少額の顧問料でも利益が出せる体質を作り上げていくことも大切になってくるだろう。 自計化を軸にした訪問型の事務所経営では移動コストを中心とした人件費が多大にかかってしまう。顧問料の価格によっては顧問先に来所してもらうようにすることで効率化を図るといった方策も考えられる。 今後、小規模事業者の多くが利用していくと予想されるのがクラウドサービスだ。 クラウド会計に限らず多くのクラウドサービスは安価かつ手軽に利用でき、企業経営に活用できる。一般的な経営者にとってはもはや当たり前のツールとなっているなか、会計業界ではクラウド会計はまだまだ普及が遅れている。 当社で運営している税理士マッチングサービスへの問い合わせでも「クラウド会計に対応してくれないので対応している税理士を紹介してほしい」といった声も寄せられるようになってきた。 小規模事業者にとって必要なクラウド会計。早めの導入が必要だろう。 「第6回税理士実態調査」とは別の視点から会計事務所をとらえた統計・データ集「2015 会計事務所の経営白書」好評発売中です。ぜひお買い求めの上、事務所経営にお役立てください。 |