会計事務所経営に役立つ情報
(2015年4月)

職員がお客様をさくさく増やす
会計事務所のモデリング Part.2


 会計事務所が新規拡大する条件は何だと思いますか?

 それは、所長一人で営業をしないことです。所長単独での営業では限界があり、新規拡大が行き詰まります。コンスタントに新規顧客を獲得するためには、職員にも営業活動を担当してもらうことが必須なのです。

 今回は、マネージャーが営業活動に注力し、全職員が担当顧問先に紹介を依頼し、営業活動を展開している松本税務会計事務所の事例を紹介します。


改正後の相続実務対応に必要なカテゴリーを網羅

─職員さんにはどのようにして営業を担当してもらっていますか?

松本氏:
お客様を直接担当する職員には「営業」を意識してもらっています。採用面接時にも「営業をできますか?」と聞くようにして、「できる」と答えた人を採用するようにしております。強い企業は、必ず営業力があります。会計事務所も同じで、営業が強い会社になりたいと思い、営業に力を入れています。

─営業専属の方はいらっしゃいますか?

松本氏:
今は専属メンバーはいませんが、当事務所の社風を理解していただける方ならば、採用したいと思います。また、現在税務のマネージャーが営業活動に比重を置いているので、近々営業専属に転換しようかと考えています。

─マネージャーさんは現在、どのような営業活動をしているのですか?

松本氏:
当事務所は風俗業に特化しているので、風俗業許認可専門の行政書士にDMを送り、その後電話をかけたりするなどの活動をしています。同時に風俗業専門広告代理店にも営業をかけています。今は税務の仕事もしていますが、担当を持たずに営業専属にして、スーパーバイザーやトラブル対応といったポジションに高めたいと思っています。

─他の職員さんはどのような営業活動をしているのですか?

松本氏:
日々の声がけが中心ですね。決算時にお客様に見込み紹介の声がけを徹底させております。自社の業務品質が低ければ、なかなかお願いはできませんが、品質が高ければ、自信を持って「紹介してください」とお願いできます。


職員に営業をしてもらう4つのポイント

─どのようにして営業活動のモチベーションを上げていますか?

松本氏:
やっぱりインセンティブですね。新規顧問先を獲得したら、月額顧問料の10 〜15%を1年間給与に上乗せします。「仕事が増えても給料は増えない」では、モチベーションは上がりませんから。また、当事務所では経営数字をオープンにし、所長の年収も公開しております。数字を開示した上で、具体的な計画を発表しており、道筋を見せています。すると、将来どうなるのか、どう行動すればいいのかが分かり、やる気が出てくるのではないのでしょうか。

─職員さんに営業をしてもらう際のポイントについて教えてください。

松本氏:
4つあります。ひとつめで最も大切なことは、皆が同じ方向を向くことです。目的と行動指針の共有が欠かせません。2014年の1年間で当事務所は68件の新規顧客を獲得しましたが、単純に職員の自力で獲得できたのは1割ほど。大部分はネットなどのインフラを活用し、職員全員のチームプレーによる成果です。だから、皆が同じ方向を向く「営業」を意識させ、決算時に見込み紹介の声がけを徹底とが何より重要なのです。2つめは、段階を踏むことです。段階に合わせてこまめに目標を設定して、一歩ずつそこに向かっていくことですね。3つめはコミュニケーションです。飲み会も含めて、職員とこまめにコミュニケーションを取ることが大事です。4つめはツールですね。何もない状態で「営業をやれ」というのは、素手で戦場に行かせるようなものです。当事務所では商談時には料金表を用意し、各メンバーには相手の業種等に合わせた数種類の名刺を支給し、営業活動を支援しております。


 松本先生の取り組みについての詳細は、新作DVD「会計事務所のモデリング」に詳しく収録しています。


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