会計事務所経営に役立つ情報
(2015年3月)

会計業界で存在感を増す「税理士法人」徹底分析

 「2015会計事務所の経営白書」が1月に発売されている。先進的な会計事務所が事務所を成長させるための客観的資料として、今年も多くの先生にお買い求めいただいている。お読みいただいている先生方から特に反響の多かった「税理士法人統計」から、一部抜粋してお届けする。


統計1 全税理士法人の総売上は約4700億円?

 2014年末現在の税理士法人数は2902法人(日税連登録数)。ここから、事務所HP、就職情報誌、就職情報サイトなどから調査した約2000法人の平均従業員数は18.1人となった(990法人は不明)。

 一税理士法人の平均従業員数が18.1人と聞くと多いように感じられるが、6か所以上の拠点を持つ大規模税理士法人の平均従業員数は220.8人にもなり、平均してならすとこの数字に落ち着く。

 事務所のHP保持率は、日税連の税理士検索サービスとGoogle検索を用いて調査した。その結果、全国2902法人のうちHPを開設している法人は73.0%。27.0%の法人が、HPを持っていない。この結果から予想するに、個人事務所ではさらに保持率は下がるものと予想される。

 拠点数ごとの税理士法人の平均年商も試算した。こちらは、拠点数別で算出した平均従業員数に「サービス産業動向調査」で公表されている会計事務所職員一人あたりの生産額である約807万円を掛けることで試算している。

 この試算額を合計し算出した税理士法人の総売上は約4749億円。会計業界全体の総売上が約1兆3千億円と言われるなか、約3割強を税理士法人が占めることになる。

 会計事務所全体のなかで税理士法人が占める割合は約1割。この試算が正しければ、売上ベースでは実際の数と比較して3倍もの存在感を示している。

 巨大税理士法人が数字を大きく引き上げていることを差し引いても、業界内において税理士法人の存在感が年ごとに増しているのが分かる。

表1 平成26年現在の税理士法人


統計2 税理士法人売上試算から逆算した個人事務所の平均売上

 一会計事務所の平均年間売上は約4000万円とされている。しかしこの数字は個人事務所も税理士法人も合わせた金額。そこで、個人事務所と税理士法人を切り分けて試算してみた。

 その結果、個人事務所の平均年間売上は約500万円下がり約3500万円。一方、税理士法人は約1億6000万円となった。

 個人事務所の平均売上としては、こちらのほうがより実情に近い数字なのではないかと考えられる。

 合わせてHPの有無別の税理士法人拠点数比較も行ってみた。

 平均するとHPのある法人は1.5拠点。無い法人では1.3拠点と、それほど大きな差は見られなかった。

 法人化は行いつつもWeb以外での集客を行う法人も多いようだ。



2015会計事務所の経営白書(トレンド)