(2015年2月)
第11回新春感謝祭2015「資産税フォーラム」特別対談 資産税ビジネス新時代の展望と実務のポイント 田中誠氏×金井義家氏 「第11回新春感謝祭2015」の2日目に開催された「資産税フォーラム」では、資産税ビジネスのプロフェッショナル2人をお招きし、初の対談を行った。 税理士法人エクラコンサルティング代表の田中誠氏(税理士)と金井公認会計士・税理士事務所代表の金井義家氏(公認会計士・税理士)に、今後の資産税ビジネスの展望を語っていただいた。 顧客の状態を分析し1年規模でコンサルを提供 司会: 資産税案件獲得のための初期対応から受注までまずはお聞きしたいと思います。 金井氏: 最初は1年契約を結んでお客さんの分析から始めるようにしています。中には脱税志向の強い方もいますので、初見で状況が分からずトラブルに巻き込まれる可能性があるので慎重に対応しています。 田中氏: まずは案件を取らないと報酬に行き着きませんよね。相続に関するパイは今年から増えますが、金額は大きくならないと思っています。これまで5万件程度だったものが8万件弱にまで増えるという予想がありますが、まずは分析をしておいて、1年くらいのコンサルティングを受けてもらえるように契約を結ぶと一番いいと思います。法人の顧問料と同じように資産税の顧問料というイメージです。あとは結婚資金の贈与だとか、教育資金の贈与だとか、ポイントは贈与だと思いますね。家族構成を分析してお孫さんに教育資金を贈与するとか、生命保険を上手に活用するとかですね。 大規模案件はリスク大ミスを防止するにはどうするか 司会: 次に、申告前から税務調査までの注意点についてお話しを伺えればと思います。 金井氏: 私は他の税理士の先生から頼まれて申告前にチェックすることがあるのですが、ミスが多いですね。特に10億円規模の案件はかなり怖い。このクラスの案件を、これまで相続案件は年に2〜3件しかやっていないという先生が手掛けるのは怖いですね。びっくりするような額が過払いになるケースがあります。ミスをどうやって防止するかというのは大きな課題になると思います。どこかにチェックしてもらうのも手だし、大規模な案件はやらないというのも手です。 田中氏: お客さんとの間で業務委託契約書を作るべきだと思います。最近はインターネットで「相続専門」と銘打って、安値で展開しているケースを目にしますが、安くやると自分たちの首を絞めてしまいます。相続案件はいろいろなことをやらなければならないので、契約書の中で何をやるかを細かく説明してあげることが必要なんだと思います。たとえば、税務調査は契約書の中に入れずに別途という形にして対応するなどですね。 やるなら「腹をくくる」やらないという選択も手 司会: では最後に、資産税の今後の展望と総括をお願いします。 金井氏: 今回の改正で増える人は小規模でリスクが少ない先なのかなと思います。固い先かなと思うので、ここをまずやっていくのは作戦なのかなと思います。あとは大規模案件とどう向き合うかですね。10億円以上は率直に怖いと思います。相続税はちょっと間違えると簡単に1億円規模で数字が動きますので、やるなら腹をくくってやるし、やらないならやらないと決めなければなりませんね。 田中氏: 私は法人顧問をほとんどやっていないので常にそういう目で見ているのですが、お父さんが法人を作ったら分割するだとか、争わないようにするにはどうするかといった税理士の知恵が必要になってきています。あまりにも巨大化する前には一般社団法人、将来どういう取り扱いになるか分かりませんが、公益法人も何個か作っています。やってみるといろんなことが分かったりしますし、そういうことをやって信頼を得るとか。法人化と分散するんですけどまたどこかで集約するんですよね。共有とかを一回解消するために売るとかM&Aが起こるとか、歴史は繰り返していると思うので、かなりまだあると思っています。 |