会計事務所経営に役立つ情報
(2015年1月)

会計事務所業界に広がる常識を検証する

大都市圏ほど1事務所あたりの売上は高いを疑う

 「2015会計事務所の経営白書」では100種類を超えるデータ、グラフ、統計を元に、会計事務所業界の現在を浮き彫りにする。ここでは「白書」に掲載される統計からこれまで「定説」とされてきた常識が本当なのか、検証してみよう。


高い平均売上を上げる西日本 東北と山陰・山陽は苦境が続く

 1会計事務所の平均年間売上は約4千万円。これは「経済センサス」など各種統計から割り出された数字だ。

 とはいえ、東名阪、札幌、福岡といった大都市圏では大規模事務所が大きな売上を上げており、小規模事務所はなかなか売上を伸ばせていないと考えている方も多いのではないだろうか。

 昨年の2月発表された「平成24年経済センサス」の追加資料から、都道府県別の会計事務所の平均売上が分かる。


 1位はやはり東京都で約7,300万円。平均を大きく上回る平均売上をたたき出している。

 その一方で、2位〜5位は長崎県、京都府、佐賀県、福井県といった西日本の各府県が占めている。

 決して大都市圏だから売上が高いのではなく、その土地に応じたマーケティング手法や営業手法、サービス提供をいかに行えるのかが重要になっているのが分かる。


 一方、県別にワースト5を見てみると、山陰・山陽地方と東北地方に大きく偏っているのが分かる。これらの地域では平均3千万円を中心に売上が推移している。

 これは、地方経済が疲弊している点、特に東北地方では東日本大震災も大きく影響していることが予想される。

 ここから見えてくるのは、「大都市圏だからお客さんは増える、売り上げも増える」というのは幻想だという点。確かに、大規模事務所は大都市圏に固まっているが、その分、自力で営業・マーケティングを行えない事務所は売上を伸ばせず、二極化が顕著に進んでいく。

 ブランディングの強化、ネットワークの構築、Webやメルマガでの情報配信、セミナー活動など、小規模事務所ほど積極的なマーケティング活動が必要とされている。


2015会計事務所の経営白書(トレンド)