会計事務所経営に役立つ情報
(2014年9月)

顧問先の信頼を失わないための実践ロールプレイング

 月10件もの税務調査を手がける、税理士法人TAXGYM(東京都渋谷区、宮城県仙台市)の渡邊勝也(まさや)氏(代表社員 税理士、税務訴訟補佐人)。DVD「実録! 税務調査ロールプレイング(全行程編)」では、渡邊氏が税務調査の事前準備から税務調査官との交渉までを臨場感あるロールプレイングで一挙公開している。渡邊氏に最新の税務調査事情を聞いた。


税理士の処分件数5年前の2倍に

―先生は税務調査がご専門ですが、最近の税務調査の特徴を教えてください。

渡邊勝也氏(以下渡邊):まず、着手が早くなりましたね。これは国税通則法が変わったことで税務調査官の行う手続きが煩雑になり、いままでのスピードでは調査件数が少なくなってしまうためです。それから広域調査が増えたことも特徴的です。たとえば東京にある親会社だけでなく、全国にある関連会社を一斉に調査するといった一体調査が増えています。

―税務調査に際して、税理士として気を付けなければならないことは何でしょうか?

渡邊:この数年で税理士の処分がとても増えています。平成25年には約50件、これは5年前の2倍の数です。たとえば、信用していた顧問先から脱税相談を持ちかけられて安請け合いしてしまった、あるいは税務調査の場で顧問先が追い詰められて「税理士がこうしろと言った」などと嘘を口にしてしまうことも。以前と比べて税理士と顧問先の関係は希薄になっていますから、顧問先を信用しすぎたり「自分は『先生』だから顧問先から裏切られることはない」という認識のままでは自分の身分が危うくなってしまいます。


税務調査は顧問先の信頼を得るチャンスでもある

―顧問先でないお客様からも問い合わせはありますか?

渡邊:「税務調査110番」というWebサイトを運営していますが、新規のお客様からのお問い合わせが増えています。税務調査で追徴課税の額が抑えられたなど結果を出せればお客様の満足度が高くなりますから、これを入口として顧問契約に繋がることが多いですね。

―日頃から税務調査を見据えたアドバイスをすることも重要になるのでしょうか。

渡邊:そうですね。「税務調査のときはこうしてくださいね」とアドバイスができないと、顧問先は不安を募らせて税理士を乗り替えてしまいます。税務調査を実践的に勉強することで普段から税務調査を視野に入れたアドバイスができ、安心感を持ってもらえるのではないでしょうか。


税理士と税務調査官の白熱した交渉術を大公開

―今回収録したDVDの内容を教えてください。

渡邊:このDVDでは、税務調査の事前通知が来てからの顧問先との打ち合わせ、税務調査当日、臨場調査後の交渉の全行程を忠実に再現しました。また、それぞれのポイントを詳しく解説しています。

―いちばんの見どころは?

渡邊:税理士と税務調査官との交渉のロールプレイングですね。調査官役には国税OBの喜屋武博一(きゃん・ひろいち)税理士事務所(東京都中央区)喜屋武博一氏(所長 税理士)にご出演いただき、脚本なしの緊張感ある交渉シーンとなっています。ご紹介した交渉テクニックはお客様を獲得するための営業や普段の交渉事にも応用できますので、ぜひ購入して活用してもらいたいですね。


実録!税務調査ロールプレイング [全行程編]