会計事務所経営に役立つ情報
(2014年8月)

所長が仕事のしやすい事務所を作るにはどうすればいい?

 一般企業、会計事務所を問わずコミュニケーションに起因する社内トラブルが激増している。会計事務所においても人材の定着は大きな課題となっている。

 「せっかく景気が上向いているのですから、組織内で足の引っ張り合いをしている場合ではありません」と語るのは、東京都町田市を拠点にやまだ社会保険労務士事務所を経営する山田隆司氏だ。山田氏は、人材のキャラクターを可視化する「TCC研修プログラム」を事務所内に導入し、大きな成果を挙げている。


職員の特性を知らないまま「スタメン」を決めていませんか?

 野球でもサッカーでも、スターティングメンバーを決めるときには選手の特性や強みを理解した上で決めますね。でも、企業においては人材のキャラクターをよく知らないままに部署や役職を決めてしまう、これはとても非効率です。

 当社では「TCC研修プログラム」を導入して、誰がどんなキャラクターなのかをお互いに理解し合った上で仕事をしています。

 人間にはいろいろなタイプの方がいます。話法もしっかりしていて前線に立ってバリバリ営業するのが得意な人。人と接するのは苦手かもしれませんが、高度な技術を持ちバックヤードで組織を支えるのに適している人。通常、これらは経営者の「勘」に頼って部署割りされます。

 上手くいっている時には良いのですが、その勘が外れたとき、組織にとっても人材にとっても大きな損失です。「TCC研修プログラム」では、人材のキャラクターや特性が可視化できます。組織を率い、育て上げていく上で、これは大きなメリットだと思います。


職員制作の「所長マニュアル」が所長のストレスを激減させた

 私が事務所に「TCC研修プログラム」を導入して、実際に起こった変化についていくつかお話しします。

 誰がどんなキャラクターか理解した職員たちが私に内緒で集まって、「所長のコントロール・マニュアル」を作り出したんです。

 仕事をしているとなんだかみんなで集まって話をしている。「何をしているの?」と聞いても教えてくれません(笑)。

 私のカラーコードを分析し、話しかけてはいけないタイミングや使ってはいけない言葉、やってはいけない行動や接し方などを職員で共有してくれたんです。

 当然、私は仕事がしやすくなりました。コミュニケーションが原因の無用なストレスから解放されれば業務も効率的に進みますし、元々良かった職員との関係性もさらに親密になります。この使い方はおすすめです。 可視化した社員・職員のキャラクターを組織のSWOT分析に落とし込むのも、絶対に行ったほうが良いでしょう。

 SWOT分析はよく知られた組織の分析方法ですが、S(強み)とW(弱み)の部分に、キャラクターを当てはめてみるんです。

 弱みの部分を底上げできれば組織力が上がります。「弱さを鍛えるより強みを伸ばす方がいい」とはよくいいますが、それだけでは組織は強くなりません。桶に水を張る。そのとき、いくら一部の側面を高く伸ばしても、水は一番低い側面の高さにまでしか溜まりません。全体の力を伸ばすには弱みを伸ばす方がいいんです。

 私はこれを「手桶の理論」と呼んでいます。「TCC研修ブログラム」でキャラクターを理解し、さらにSWOT分析へと落としこんで組織を解析することで、それも可能になるんです。


TCC研修プログラムは組織外にも応用できる

 「TCC研修プログラム」は組織外にも応用しないともったいないですね。

 私は社労士事務所を経営していますが、お客様に直接営業したことはありません。お客様を連れてきてくださる方に営業するんです。

 たとえば税理士の先生。「この税理士の先生はどのキャラクターだろう」とまずは考える。キャラクターに応じた接し方を心得ていれば、コミュニケーションに起因するトラブルは激減します。気持ちよくお客様をご紹介いただけるようになりますよ。

 外部の士業の方、お客様、関連業者の皆さん、彼らのカラーコードは何か、頭に入れて接するのと接しないのとでは大違いでしょう。

 税理士の先生方も、事務所に取り入れてみることをおすすめします。事務所で試したら、次はぜひ顧問先の企業にお教えして、企業の経営力アップに活かしていただきたいと思いますね。


TCCタイプ別顧客対応マニュアル