会計事務所経営に役立つ情報
(2013年12月)

消費税対策の予定がない企業が52.5%

グラフ1 消費税対策の実施状況


 グラフ1は企業の消費税対策の実施状況を示している。

 「特に対策を行う予定はない」が52.5%と過半数を占める。これを中小企業に限定すると「特に対策を行う予定はない」は54.8%。「対応済み」3.2%、「2014年3月までに行う予定」21.0%と、増税前対策の手を打っている割合は4分の1以下という現状が明らかになった。

 この結果は「どんな対策を取ればいいのか分からない」という現状を裏返したものであると推測される。会計事務所側からどんな対策が必要なのか提案することが重要。そういう意味では提案の余地が残っており、大きなビジネスチャンスとも解釈できる。

グラフ2 消費税率引き上げへの対応策

 グラフ2は具体的な対応策についての調査。最多となった対応策は「財務会計や販売管理など基幹システムの改修」。「税理士やコンサルタントなど専門家に相談」は28.3%だった。グラフに出ている上位10項目のうち、大半は会計事務所でサポートが可能。「経過措置の把握」「設備投資や事業所移転等の前倒し」などは、率先してアドバイスすべきだ。

 もうひとつ統計結果を紹介する。帝国データバンクの「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」によると、取引先から消費税率の引き上げを理由とした(理由と思われる)納入価格の引き下げ要請があった場合、どのように対応するかという調査では、以下のような結果になった(中小企業の場合)。

●承諾する…6.1%
●承諾しない…34.5%
●条件や企業との関係性による…45.6%
●分からない…13.8%

 値下げ要請が来ても承諾しない中小企業は3分の1強にとどまった。しかし、半数近くは「条件や企業との関係性による」と、あいまいな回答が占めた。

 消費税増税と納入価格の引き下げが重なると、確実に利益が減少し、キャッシュフローに大きな影を落とす。1997年に消費税が3%から5%に引き上げられたときは、価格転嫁がうまくいかなかった中小企業が多かった。その当時からずっと基礎体力が落ちた状態で、今回短期間で二度消費税が増税したら、利益が削られキャッシュフローが窮迫する。それゆえ転嫁対策についても、踏み込んだアドバイスが必要となる。

 これら現状を踏まえて経営指導にあたると、顧問先の経営が安定し、顧客満足度が向上する。