会計事務所経営に役立つ情報
(2013年8月)

職員の採用はどうしている?

 昨年、今年と弊社から発行し好評をいただいている「会計事務所の経営白書」。

 その2014年度版の発行に向けて、本紙ではプレアンケートを実施している。7月の調査テーマは「採用」。採用にまつわる各事務所の取り組みについて、アンケート調査を行った。

 多岐にわたる項目の中から、今回は「採用で利用するメディア」「採用選考のポイント」をテーマに考えてみたい。(アンケート有効回答数:279件)


ハローワークを中心に募集資格学校や知人の紹介も

 募集をかけるメディアはハローワークが最多。やはり無料で応募者を集められる点が魅力のようだ。

 採用パンフレットを作成したり、求人誌や求人サイトに依頼して応募者を集める事務所は少数派に属する。

 一方、資格学校などと提携し、直接有望な学生をヘッドハントする事務所や、知人から優秀な知り合いを紹介してもらい、採用活動を行っている事務所なども見られた。

 以前、本紙で行った取材において、過去10年にわたって一人の退職者も出していないある先生は「やはりある程度予算をかけた方が、優秀な人は集まりやすいが、ハローワーク経由で応募してきたスタッフが、今は役員となっているケースもあるから採用は難しい」と話していた。


募集するスタッフにはコミュニケーション力を重視

 では、各事務所が求める職員像はどのようなものなのだろうか。

 最多の票を集めたのが「コミュニケーション能力」。

 対顧客、対所長、対職員といった、全包囲的に求められる能力であることに加え、会計事務所もサービス業であるという認識が広がった結果、職員にも強く求められているものと考えられる。

 次に「人間性」を挙げる所長先生が多かった。

 どれだけ実務能力に優れていても、所長や職員との間で人間関係が構築できないような人間性では事務所内にいらぬトラブルを巻き起こしてしまう。

 次に並んで挙げられたのが「実務能力」と「事務所の方針・理念と合うかどうか」。

 即戦力としての実務能力よりも、事務所や所長と合致するコミュニケーション能力や人間性を重視する傾向が強く現れている結果となった。


面接以外の選考は少数ここでも人間性重視の傾向が

 最後に、採用選考で実施している内容についての調査結果を見てみよう。

 面接はほぼすべての事務所で行っている一方で、「適性検査」や「ペーパーテスト」といった試験を行っている事務所は全体の1割〜2割とそれほど多くない。

 ここでも実務能力よりも人間性やコミュニケーション能力を職員に求めている傾向が表れている。


なぜ、あの会計事務所は良い人材が採れるのか?