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確定決算主義とは

(2016/10/12)

 法人税法では、法人が行った決算に基づく会計内容を所得金額の基礎とし、そこに種々の調整項目を加えることで最終的な課税対象となる法人所得を算出することとしている(確定決算主義)。

 これは、法人税法が企業会計に準拠する形で所得計算を行う基本的な仕組みによるものである。法人税法74条《確定申告》1項は、「確定した決算に基づき…申告書を提出しなければならない。」と規定するが、この「確定した決算」とは、何を意味するのであろうか。

 例えば、瑕疵ある株主総会によって承認された決算は、同条項の要件を満たしていないことになるのであろうか。この点については、既に東京地裁昭和54年9月19日判決(判タ414号138頁)が、「たとえ商法上の確定決算上の手続に依拠せず、従って商法上は違法であるとしても、確定申告自体が、実質的に、法人の意思に基づきなされたものと認められる限り、税法上は法74条に基づく有効な申告として扱うものと解するのが相当である。」と判示しているところである。

 では、タックスヘイブン対策税制を規定する租税特別措置法66条の6第2項2号にいう「決算」とは何を意味するのであろうか。ここでは、「確定した」という概念さえも使われていないのである。

 
(出所:酒井克彦・税のしるべ平成26年10月27日号)