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テロリズムの定義にみる「又は」と「かつ」
(2015/11/25)

 特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)12条2項には、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項が対象とされているが、ここにテロリズムとは、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。」と規定されている。

 これによると、テロリズムとは、政治上その他の主義主張に基づき、「強要し」又は「殺傷し」又は「破壊するための活動」と理解することができそうである。すると、これら「強要」「殺傷」「破壊」のいずれか一つが行われるとテロリズムに該当するということになるが、果たして、テロリズムの定義はそのように広く解釈されるのであろうか。

 森まさこ担当相(当時)は、国会答弁でこの条文の解釈について、最初の「又は」は「かつ」という意味であり、「政治上」から「殺傷し」までを一つ続きで読むという答弁を行った。

 「又は」と記載はされているが、これを「かつ」と読むという解釈が妥当であるとすると、文理解釈が第一的に優先されると考えられている租税法学の学徒としては、文理解釈の混乱に対して重大な関心を寄せざるを得ない。

(出所:酒井克彦・税のしるべ平成25年12月23日号)