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税理士の名義貸しと修士論文の代筆
(2015/09/10)

 税理士法52条《税理士業務の制限》は、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない。」とし、同法53条《名称の使用制限》1項は、「税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。」としている(2項も参照)。

 これに違反した場合はいわゆる「非(にせ)税理士」となり摘発されることになるが、刑事罰としては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(税理士法59丸数字1三)。

 もちろん、名義貸しも非税理士行為であるから、名義を借りた無資格者だけでなく、貸した方の税理士も同様に罰せられることになる(財務省告示104号参照)。

 なお、上記税理士法59条の罰則は、例えば、大学院における修士論文を自らが作成せず、それを代行者に依頼をして税理士試験の免除を受けた者も含まれるのである。なぜなら、不正に税理士試験の免除を受けた者は、そもそも税理士となる資格を有しない者に当たるところ、そのような者が「日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして税理士名簿に登録させたもの」(税理士法59(1)一)についても同条の罰則が及ぶと解されるからである。

(出所:酒井克彦・税のしるべ平成25年9月16日号)