タックス・ラウンジ
バックナンバー

密造酒でアルコール中毒
(2015/08/10)

 2013年3月、リビアにおいて、メタノール入りの密造酒を飲んだ人々が次々と体調を崩し、50人以上が死亡し、少なくとも378人が中毒症状で手当を受けたというニュースが報道されていた。事件を受けて、保健省は、アルコール類には一切手をつけないようリビア国民に警告し、密造酒の製造、販売者らを特定するため捜査が行われたという。

 さて、日本では、アルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒類製造免許を有していない場合には禁止されている。これに違反し製造した者は、酒税法54条により10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることとされている。

 エタノールは、醸造用に供されることから酒税の課税対象となるが、メタノールなどを加えて変性アルコールにしてしまうと非課税となる。そこで、メタノールがエタノールより沸点が低いことを利用して、変性アルコールを加熱してメタノールを分離したものを密造酒として供することが流行し、第二次世界大戦後の混乱期には安価な変性アルコールを用いた密造酒が横行した。メタノールを水で希釈しただけのカストリ酒(粕取り酒)なども出回り、メタノール中毒はかなり多かったようである。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3079号4頁)