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ルネサンス時代における源泉徴収
(2015/07/24)

 ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンツィオ(1483―1520年)は、ルネサンス絵画を完成させ、後の画家たちの手本となったともいわれ、作品の貴重さゆえに展覧会の開催はヨーロッパにおいても極めて難しいそうだ。

 ルネサンスの時代、十字軍特需の最大の享受者は、船を持っていたイタリアの都市、すなわち、アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィアといった海洋都市国家であった。キリストの教えは、聖フランチェスコの登場により、新興階級の商人にも拡充した。そこには、稼いだ金を修道会に寄進すれば、貧困者などへの福祉に使われるということから、神への奉仕にも役立つという考えの広まりがあった。そして、彼らは、フランチェスコ宗派の中核になっていったのである。

 このような中で、ローマ法王庁への10分の1税という税金の天引き制度たる源泉徴収制度が確立した。ただでさえ十字軍特需に湧いていた中で、さらなる財政的に磐石なシステムを築くことになる。

 この新興階級の参入で増加したキリスト教徒からの自動的徴収制度が、フィレンツェの興隆を支えていたようである。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3077号4頁)