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一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
(2015/06/10)

 法人税法22条《各事業年度の所得の金額の計算》4項は、法人所得の金額の計算における収益の額及び費用・損失の額について、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるべきことを宣言している。

 かかる基準は「公正処理基準」と呼ばれるが、この公正処理基準は、「一般に公正妥当と認められる会計処理の慣行」ではなく、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」と規定されている点からして、会計慣行を集約したものとされている企業会計原則などを指すわけではないなどと論じられることも多い。

 また、この公正処理基準は、一般に認められるものであることを必要とするから、租税法の立場のみからみて公正妥当な会計処理の基準を指すものではないのは当然であると論じられることもあるし(武田昌輔編『コンメンタール法人税法』1154頁(第一法規加除式2013))、他方、著名なエス・ブイ・シー事件(最高裁平成6年9月16日第三小法廷決定・刑集48巻6号357頁)のように、脱税協力金の損金性が公正処理基準により否認された事例もある。

 法人税法の根幹である計算通則である公正処理基準を示す法人税法22条4項には、解決できていない論点が山積している。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3071号4頁)