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還付ビジネスの横行
(2015/03/10)

 米国では、成功報酬型で顧客を獲得する還付ノウハウの開発会社が流行っている。還付申告の代行業というビジネスモデルである。皆確定申告制度を採用する米国においては、我が国の税理士制度とは異なり、確定申告事務が租税専門家の無償独占業務でないのは周知のとおりである。専門家と称する者が、成功報酬目当てに様々な租税法上の特典を有利に活用して還付金を得るという構図である。

 このような還付ビジネスは今日の日本でも相当増えている。特に、固定資産税における還付ビジネスは盛んである。課税額算出時の評価員による初年度の「再建築費評点数」計算上のミスが理由で適正でない課税がされているケースが跡を絶たない。

 還付がビジネスとして成り立つという点についての疑問はあるが、そもそも、97%の自治体が土地・家屋の固定資産税の税額を修正しているという事態を招いたそこでの課税実務はどうなっているのか。納税義務者総数に占める税額修正のあった者の割合は、調査対象期間の平均で土地も家屋もともに0.2%。まさに500人に1人の割合だという。その点に強い疑問を抱かざるを得ない。このような還付ビジネスが横行している原因は固定資産税実務にも問題があるのではなかろうか。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3052号4頁)